第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く

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凡そ、40度が3日、後に39度が3日も続いたらしい鴫鑑識員だから、水分・栄養補給も点滴が続いたらしい。 お粥を食べ始めたのが、昨日の朝からだ。 「耐性型のウィルスとは、運が悪かったね。 でも、変な言い方かも知れないけど、“峠は越した”と先生が言ってたよ」 「よもや、まさか・・でありまする」 「ん~」 鴫鑑識員を眺める木葉刑事。 「あ、何や?」 見詰め返した鴫鑑識員。 鴫鑑識員を眺め続ける木葉刑事は、 「片岡さんは、弱った女性は悪くないと言いましたが…。 やっぱり鴫さんは、普段の方が良いですよ」 「へ、へぇ?」 耳に入らず聞き返した鴫鑑識員だが。 ケーキを小分けしてスプーンに掬い。 「良いもの食べれば、意外と元気になりますよ」 と、ケーキを運ぶ木葉刑事。 ボーっとしながら、食べる鴫鑑識員。 これまで殆どの客に対して面会謝絶にしていたが。 おもいっきり弱った姿を見られているに、他の男性を相手にした時の拒否反応が全く無い。 あ、いや。 弱った・・処では無い。 力なく直したつもりの医療用のローブの胸元が弛み、豊満な彼女の胸の谷間は下の方まで見えていた。 長い髪は乱れ、木葉刑事に気を許した今は完全に心から無防備。 男性ならば情欲をそそられても仕方ない姿だ。 気を取り戻す鴫鑑識員に、事件の経過や世間話をしてケーキを食べさせる木葉刑事。 話を聴いて、胸が熱く、もう運ばれるままにケーキを食べた鴫鑑識員は、何時の間にか半分近くを食べていた。 二時間ほど居た木葉刑事。 智親鑑識員より先に帰ったが。 二人に成った智親鑑識員は、元気を見せた鴫鑑識員に。 「御姉様っ、もう大丈夫です! さ、元気になって復帰しましょう!」 「うむ。 何だか、気力が戻って来たのぉ」 鴫鑑識員はお腹いっぱい、胸もいっぱいで在る。 「よかった、御姉様が元気に成った~」 鼻声の智親鑑識員だが、しっかりケーキの一部は賞味して帰った。 その後、鴫鑑識員の先輩で、姐御みたいな雰囲気のショートヘアの女医が来た。 鴫鑑識員が面会を許可していた智親鑑識員が一緒だから、木葉刑事を伴っても面会を許したが。 やはり心配だったのだ。 処が、退院して早く仕事に戻りたい旨を聴いた女医は、自分でも知らない鴫鑑識員を見る。 (鴫にも、どうやら好きな男は居るみたいだ。 ふぅ~ん) 学生時代から彼女を知る人物にしても、鴫鑑識員の変化は面白かった。
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