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1月22日。
朝の7時半を回る頃。
「………」
女性用トイレに在る大きな鏡を前にして、美田園管理官がメイクをしていた。 もう終るらしく、最後に口紅を引く。 厚ぼったい唇は、彼女の最も解りやすいチャームポイントで在る。
其処へ、ドアが開かれて、庶務課の女性職員が入って来た。
「御早う御座います、管理官」
「御早う。 昨日の夜勤は大変だったでしょ?」
「はい。 一課長がピリピリしてて、もう居られませんでしたよ」
「そうね。 でも、今日も変わらないかも」
「あ、でも一課長・・真夜中に帰られましたよ」
此処で、美田園管理官が彼女に向く。
「別の捜査本部で、何か進展でも?」
「いや、ん~。 何だか、首や肩を頻りに触ってましたけど…」
「ふぅ~ん」
此処で、職員の彼女から。
「管理官、このまま事情聴取とか難航するんでしょうか」
「どして?」
「私、6月に結婚なんです。 彼は、私の仕事を理解していますから、下手に長引いて忙しいと、ジューンブライドを逃しますよぉ~」
庶務課でも、主任やら課長から重宝がられている彼女。 下手に長引いて、後に忙しく成られては困るらしい。
「大丈夫・・って言いたいけれどねぇ。 篠田班の彼等を横に置くんじゃ…」
「管理官~、あんな若手の意見なんて、サッカーボールみたく蹴っ飛ばしてクリアしてくださいよぉ」
「まぁ、まだ6月まで時間は在るし」
「でも、昨日は夜勤じゃなかったのに、急きょですよ。 ハァ、この夜勤明けの顔で、式場とか見学はイヤなのにぃ」
個人的な意見だが、捜査本部の士気の低下を感じ取ったが故の泣き付きだ。
美田園管理官も、何だか滅入って来そうで。
(今日も、ダラダラと事情聴取・・かしらね)
木田一課長が帰ったならば、一応は誰かが会議室に居なければ成らないので。
(仕方ない、行こ)
トイレを後にする。
確かに、木田一課長が居ない捜査本部。 朝、9時頃に木葉刑事がボンヤリ出勤。
4時間ほど寝て起きた美田園管理官は、木葉刑事の様子が変に見えて。
「木葉刑事、大丈夫?」
「大丈夫ッス。 寝過ぎました~」
「インフルエンザとか、今は止めてよ」
「大丈夫ッス~」
頭がボサボサの木葉刑事に、先に出勤した織田刑事がマスクをしたまま。
「おやまぁ、見事なネグセだこと」
「10時間ぐらい爆睡しまして~」
「はぁ~、随分と寝たねぇ」
コーヒーをお供に、鶏肉そぼろ弁当を開く木葉刑事。
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