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第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く
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1月21日、早朝5時、晴れ。
本日は、篠田班の刑事達、薬物取締課の刑事達も、緊張に包まれていた。
‐ 此方、木葉。 建物の外観を確認。 工場南側に人の姿が見えます ‐
木葉刑事が居るのは、東京と神奈川の境。 多摩川である。 年配刑事と二人で釣り客を装いながら、野毛に在る廃工場を監視する。 ススキなどの草に囲まれた廃工場は、周りの住民からも怪しまれていた。 子供が遊びに行き、えらく怖い大人から来るなと怒鳴られたらしい。
すると。
‐ 此方、東側の織田。 此方からも、廃工場がよく見えます。 工場の内部にも、二人ほど不審者が見えます ‐
目黒通りの雑居ビルの上から、双眼鏡で覗く織田刑事が居る。
二人が見る双眼鏡の映像が、リアルタイムで警視庁に送られていた。
特捜の置かれた会議室では、木田一課長が映像を見ながら。
‐ 現場の真樹、包囲は出来たか? ‐
木田一課長が言えば。
‐ 病院付近に居る美田園、里谷班と配置に付きました。 ‐
これに同調して。
‐ 南側、市村班も配置完了 ‐
‐ 北東側、飯田。 配置完了 ‐
‐ 南東側、如月・八橋班、配置完了です ‐
木田一課長は、地元住民への配慮も完了したので。
‐ 一斉に踏み込め、不審者を確保しろ ‐
と、命令した。
先行するのは、里谷刑事と市村刑事。 グレネードランチャーに因る催涙弾を撃ち込むべく、物陰から廃工場に近付いて行く。 流石に、拳銃が5丁も押収され、実弾も100発近く押収された。 警察とて職員に犠牲を出す事は極力避ける方針で、グレネードの使用も許可された。
二方向から廃工場に催涙弾が数発撃ち込まれ、防弾チョッキに拳銃を携帯した刑事18名が廃工場に踏み込む。
同時刻。
世田谷区から杉並区に点在する民家に、薬物取締課の高橋班が手分けして踏み込んだ。
廃工場に潜む不審者4名。 都内で隠れて芥子や脱法ハーブ等を育てる民間人が6人逮捕された。 午前9時を回り、報道局が撮影するまでもなく逮捕劇は終る。 今回は、逮捕の情報を全く下ろさなかった。 銃撃戦の様相も想定した為だ。
この日、議員と後嶋多に関する巨額不正融資の件で銀行や大会社に対し、東京地検特捜部が立ち入りをする事。 そして、容疑の固まった議員と著名人への参考人聴取が予定され。 その方に報道局の関心が向かっていた中の電撃作戦だった。
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