第一章

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 オレ達は教室中央付近の人集(ひとだか)り、その中心に居る奈那乃を遠くに  見ながら話す。奈那乃は沢山のクラスメイト、主に女子達に囲まれながら  笑って何か話してた。寺とかで一緒に居た時にはあんまり見た事の無い笑顔だ。  ん? 人集りでよくは見えないけど奈那乃の膝上、そこにはあのクマ型ツクモが  抱き抱えられて居るのが少しだけ見えた。クマ型ツクモは何時も握っていた妙に  リアルな鮭を両手で抱きしめ、そのクマ型ツクモを奈那乃が更に抱きしめて  いる。面白いな、あれ。どっかで見た古~いオモチャを頭で思い浮かべて  遊んでるオレへ、隣の白波が言う。 「凄いと言えばあっちもだよね。」 「んー?」  隣を見ると白波が視線を前に送ってた。だからその方向へオレも視線を送って  見れば、視線の先、教室一番前の席列にも人集りが出来ていた。囲んでいるのは  主に男子で、中心に居たのはデカイ奴とその怪獣型ツクモだ。胸を張って  男子と話すデカイ奴に、周りの男子は怪獣型ツクモを見ては『スゲー』とか、  話を聞いては『カッコイイ!』とか言っている。ほーう? 「アイツらってあんなに人気だったのか……。」 「気が付かなかった?」 「全っく!」 「何で自信満々なの……? ま、まあ最初はそうじゃなかったからね。     
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