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 ノインは、不遇な境遇に生まれた。前王はノインの父親だったにもかかわらず、その王が若くして亡くなり、その弟――ドライツェンの父親が即位した。王位継承権は、ノインから現王の子供たちに移っていった……。  それを嘆く母親の姿を、ノインはずっと眺めながら成長してきた。  王の眷属(けんぞく)として生きるべき教育を受けてきたノインは、そんな母親の姿に葛藤を覚えるようになったのだ。自分の中で、乖離していく理想と現実に苦しんだ。  従兄弟であるドライツェンとの身分の違いに苦しむようになった。アインス、エルフ、ドライツェン三人の王子達がいる限り、絶対に自分に王位継承権は回ってこない……。現実問題、それは有り得ない可能性だ――。  誰かが――王子たちを殺さなければ……そう、日に日にその思いが強くなっていった。その中で、ドライツェンと育んできた友情の間で苦しんだ――。
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