朝露の汽車

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 お酒はあまり強くない。しかし仲間と飲むのは楽しい。今日が最後である。こうしてあの仲間と馬鹿になるのは。阿呆みたいにテンションを上げるのは最後である。しかしその実感はない。 いつもだ。いつもこんな感じで最後が始まり、そして終わる。時は人の幻想か。そんなことはどうでもいい。ただ今日があるのみである。明日の朝はどこにもない。それこそ幻想だ。  電車が最初の駅に止まる。比較的大きな駅だが乗ってくる者は数人だけだ。窓に頬を寄せると冷たかった。あの()も来るんだっけ。 急にその心配が起こる。叶いもしない、手も伸ばせない人に思いを馳せだす。いっそのこと奪ってしまおうか。 屹度僕は疲れている。その勇気もないくせに。 ―結局また失うのだ。そう解っていてもまだ悲しさが来ない。あの()を思い浮かべ、それが消えていくと、あとには重たく並ぶ吊革が残る。白いそれらは夜の中で揺れている。
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