朝露の汽車

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 スマホが振動した。見てみると、今日集まる仲間からの通知である。電車の揺れが少し激しくなる。よく見てみるとあの()からの通知であった。 「ごめんなさい。急用ができて行けなくなりました。」 スマホの画面をぷすりと消した。僕は車内の奥の方を見た。電車の揺れは引いていた。 急に虚無感が身体(からだ)を襲った。もう終わっていたのだ。もう―。何だか行く意味が無くなったようだ。その気分に心が押しつぶされそうになった。自分の存在を否定したくなった。  外は益々(ますます)暗さを増した。電車が町を離れ、田畑の中を通っているせいだろう。照明が消えたような消したような感を覚えた。 「もう、おねんねの時間だ」。ひとりそう呟いた僕は、再び深く冷たい窓に凭れ≪もたれ≫掛かった。
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