大きな好き

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そして、2人は床に乱暴に被さり、教師が何度も腰を動かしていた。 その光景を見せてから、後輩は声を出さずに大きく笑っていた。 彼らが見せたかった面白い物は、これだった。 そんな事があり得るのかと、一瞬自分が何を見ているのか分からなくなった。 そして彼らと教室を後にして、僕はまた自主練をしようと足を進めた。 けれど、3年の教室のドアを開ける前に、僕の足は勝手に踵を返した。 僕は激しくなり打つ心臓を、ただ握りしめた。 僕も、おそらく彼らも生であんなものを見るのは初めてだったろうけれど、それを面白いと思えるのは好意の有無によってかわる。 僕は彼女に会ってどうするつもりもないが、何も見なかった事にして綺麗に失恋できるほど、出来ていない。 ただ、彼女に会いに行った。 理科室の前に着くと、彼女は何も無かったように練習していた。 けれどその教室には、生々しい嫌気が漂っていた。 僕はわざとらしく「練習どう?」なんて話しかけてみた。 彼女は僕の好きな後輩のようになって答えた。 その受け答えが、僕の恋心をまた少し釣り上げた。 けれどそれと同時に、その小さな恋心を餌にもっと大きな感情が食いついてしまった。 僕は、良くないと思いつつ、あんなおじさんとヤレるなら、付き合えなくても僕とだってヤってくれる。ヤってやる。あんなやつに負けたくないと思ってしまった。 それはもう恋ではなく、ただの負け惜しみと、汚い執着心、憎悪、劣等感から来るものだった。 けれどどんなになけなしの言葉を使っても、彼女は僕の事を好きには慣れないらしかった。 だから、どうせ好きになって貰えないなら、いっそ嫌われようとキスをしようとした。 彼女は抵抗した、思った以上の力で、それでも男には敵わないと壁に押し付けてからキスをした。 けれど彼女は僕の舌を噛み大声を上げた。 僕は舌を噛まれた憎しみと、大声で叫ばれた驚きでとっさに近くの液体を彼女の口に押し込めた。 けれどその行為は、僕をさらにパニックにさせた。 彼女は僕の思惑どおりに声をあげられなくなった。 けれど同時に瓶を持っていた右手が激しい痛みに誘われた。 酸が彼女の喉を溶かした。 悶える彼女を早く止めたくて僕は彼女の顔にも、汚い体にも酸をかけた。 とけていく彼女に嬉しさを覚えた。どうか僕の好きな彼女のままで、僕の心にいてくださいと。 そして、今に至る。
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