プレゼント

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プレゼント

実は琴美と待ち合わせる前に、琴美が三ヶ月前に迎えた19歳の誕生日プレゼントと、今日遊んでくれたお礼にと、「遊んでくれてありがとう」というメッセージを添えた小さな花束を用意していた。 映画(レイトショー)が終わったあとは真っ直ぐ送り返すことにした。 車の中が寒かったので俺の上着を掛けてあげると「ありがとう」という少し照れたような笑顔。 そんなちょっとしたやりとりの全てが幸せで、もう俺が琴美に恋をしているのは確実であったが、俺と琴美の間には3つの大問題があったので、好きになってはいけないってことは分かってた。 一つはあまりにも年齢が離れすぎていること。 もう一つは俺が琴美の上司であること。 そして最後の大問題は、俺が既婚者であることだ。 だから、なんで琴美がこんな俺とデートしてくれるのか分からないまま、好きになってはいけない気持ちでずっと葛藤を続けていたのだ。 でも万が一琴美が俺のことを好きになってくれたなら、俺はきっと全てを失ってでも琴美と付き合うことを選んだと思う。 こんな気持ちになれるのは、きっと後にも先にも琴美だけだと思う。 でもさすがに俺も大の大人だ。特定の相手と「結婚」という道を選んだ以上、例えその相手と合わないと気付いたとしても、簡単にその道から外れるわけにはいかない。子供も授かり、そこには大人の男としての責務が生じることはさすがに理解しているつもりだ。 でもその責任を破棄するという最低の行為をしたとしても琴美を選ぶはずだ。それほどに俺は琴美の外観だけでなく性格や感性に惹かれ、感受性の一致を感じていた。 このコをいろんなとこに連れて行ってあげたい。一緒に笑っていたい。 さすがに年齢差もあり、まだ若すぎる琴美に結婚を前提に、と言うつもりはないが、今の妻と離婚して琴美とは数年付き合えただけだとしても、それでもいい、俺は琴美と恋人としての時間を過ごしたい。 そこまで思えてしまった。 これはあの映画のせいなのだろうか。 それとも俺の直感が訴えかけているのだろうか。
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