戸惑い

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戸惑い

話が遠回りしてしまったが、俺は琴美を送り返し、用意したプレゼントと花束を渡した。 プレゼントは、肌触りのよい膝掛けにもなりそうな薄手の毛布をラッピングしてもらうことにした。 少し落ち着いた色のネイビーにするか、オススメの新色という桜色にするか迷い、必要もないのになんのノロケか、敢えて「まだハタチ前の自分の部下へのプレゼントなんですけど」と店員さんと相談しながら、最終的には新色をチョイスした。 きっと「嬉しい」って喜んでくれるだろうな。 プレゼント選びに迷い、割いてる時間がなんとも嬉しい。 好きな相手へのプレゼントというのはいいものだ。 3か月前の誕生日にも関わらず、このタイミングで 「はいこれ誕生日プレゼント」 と少し大きな袋のプレゼントを渡されて戸惑ったのか、琴美は 「え?ありがとう」 と、思っていたよりは控えめなリアクションで受け取った。 立て続けに 「はい、これは今日遊んでくれたお礼に」 と花束を渡したが、それもやや戸惑った様子で受け取ったように見えた。 本当は感動で涙を浮かべてくれているところを、「おまえはカワイイな」と軽く抱き寄せ、バグしてから 「おやすみ」 とカッコよく去っていきたいところであったが、そうシナリオどうりにはいかず、「じゃあまたね」と二人は帰路についた。 琴美がどういう気持ちで受け取ってくれたのか気になったが、嫌な気はしていないだろう。 ハタチにもならないコだから花束なんてもらったこともないかもしれないし、喜んでもらえたかな…。 俺は布団に入り、今日のデートを思い返し、ニヤケながら幸せな気持ちで眠りに入った。 ちなみにネイビーの毛布は密かに琴美とのペアアイテムとして自分用に購入した。 青春の甘い恋愛だなぁ…。
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