素晴らしい剣

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素晴らしい剣

「これは、これは。あなたのようなお方がこのような辺境の地に来られるとは…」 『名前だけは知っているようだな。おすすめはあるか?』 「へい、この剣でございます。これは素晴らしいです。かの名工が作った一品です」 『ほう…』 「さらに材料には何万年に一度しか降らないと言われている、特別な隕石(いんせき)を使っております」 『なるほど…』 「さらに、大神殿(だいしんでん)の女神による祝福の奇跡が施されており。今まで大切に大切に保管されてきました』 『……美しいな。刃こぼれひとつない』 「でしょう?是非、剣豪(けんごう)と呼ばれるあなた様に…」 『で、こいつの切れ味を試したやつはいるのか?』 「………」 『お飾りの美術品ってわけだ。こんなものが実戦で役に立つのかな?』 「………」 『そっちの合金製の剣をかしてくれ。……うん、いい重さだ。二十本あるか…。よし、全部くれ』 「これで、よろしいんで?」 『ああ、前の(いくさ)の時、生き残った奴が握っていた剣の中で、こいつが一番折れていなかった。今度はこれを使ってみる。試し切り用に十本。残りは本番用だ』 「…へい、まいど」 『また来月買いに来るかもな。まあ、俺が生き残っていたらの話だが…』 「へへ…。二十本ほど仕入れときやす…」 『百本にしておけ。そして売値を上げておくんだ。俺が使ったと知れれば、買う奴がこぞって現れるぞ』 「へい!まいど!!」
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