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「くんくん、ダメだ。雨のせいで匂いがぜんぜん分からないや。せっかくブラックカオスドラゴンの立派な嗅覚を披露するチャンスだったのにな。でも平気さ、もし何か恐ろしい獣が出てきて誰かが怪我をしても、エメドラちゃんが傷を治してくれるんだから。だから心配する事無いよ便器ちゃん」ブラカスちゃんはそう言って、もう自分は洞窟に入ろうとしている。
「ね、便器ちゃん。わたしが何かあったら直してあげるから、便器ちゃんもいこうよ」エメドラちゃんもブラカスちゃんに続いて中に入っていった。
「ううん」僕も二人に続いて洞窟の中に入った。
洞窟の中ではブラカスちゃんが指先の火を灯して松明のように奥を照らしていた。僕が不思議そうにそれを見ていると、「へへ、魔力さ」と短く説明した。
洞窟の中は結構広くて奥が分からないくらいだった。土壁で柔らかい土の層で出来ていたが木の根っこがアーチを補強していて丈夫そうだ。外の雨の音が洞窟に入った瞬間にこもった遠い音になった。
「こんなに深いなんて・・・・・・。どうやら獣穴じゃないみたいだね。動物の巣ならこんなに深く掘る必要ないもん」僕は言った。声が反響する。
「うん、そうだな。きっと地殻変動か何かで出来た天然の洞窟だろうね。それにしても深いなー。なあ、ちょっと奥まで探検してみないか?」ブラドラちゃんは好奇心いっぱいという様子で僕らに提案した。
「わたしは別にいいけど、便器ちゃんどうする? 便器ちゃんは早くガンバリ図書館に行きたいよね」エメドラちゃんは僕に聞いた。
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