3人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「あの、多田君」
「ん?」
色黒で坊主頭の多田君が振り返る。
「これ、よかったら…部活の練習の前にでも食べて。それと、話があって…」
愛梨は包みを差し出し、俯いた。教室内が僅かにざわつく。
白い頬を染める様子も、俯いた拍子に長い髪が肩を滑るのも、愛梨の見た目なら様になってしまう。やっぱりずるい。
「え、マジで!?ちょうど弁当忘れちゃってどうしようかと思ってたんだよな~。今食っちゃっていい?」
大雑把な手つきで包みを開けると、多田君は早速近くの椅子に座って食べ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!