平川愛梨 二

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小六の時、美里の家で遊んだ帰りに盗んだものだ。阿部君にフラれてから私は自分に自信が持てずにいた。私が好きだった人に好かれている事も知らないで脳天気に笑って過ごしている美里に密かに苛立ってもいた。 玄関先に吊された鳥カゴの中、いつもはよく鳴くのにその時はなぜか静かだった。幼さ故の向こう見ずの勇気が湧き、脱いだパーカーに包んで持ち出した。
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