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夜から降り続く雪がアスファルトを白く染めていた。
佐々木美優は、大通りへと続く道を歩いていた。
美優を導くように、一つの足跡が大通りへ続いている。
ついさっき美優が向かう先へと歩いた人物がいるのだ。
「探偵でもしてる気分だね」
独り言を呟き、足跡にブーツを合わせるように美優は歩いた。誰かの足跡があると雪道も歩きやすい。
大通りに出ると、道には除雪された跡があり、車が何台も走っていた。
歩道側は足跡が溢れており、ここまで美優を導いてきた足跡がどれなのか、もうわからなくなっていた。
しかし、もうわからなくてもよかった。足跡の持ち主は、もうすぐそこにいた。
バス停では何人か並んでいた。その右端に傘を差して立つ黒いダウンジャケットの男子学生を見つけた。
真田優斗だった。
彼の存在を見つけると、美優の歩く速さが少しだけ上がった。
優斗はいつも美優より先にバス停にいる。少し遅れて美優が到着することもまた、いつものことだった。
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