弐之匣 第二十三話 ある宗教と友人 其之弐

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「オカンがその○○様の本山に行ってる日も俺は寝てたんよ。そしたら昼過ぎくらいかな…。リビングから例のお祈りの声が聞こえてきてな…。俺はオカンが帰って来たんやと思ってたんよ。そんですぐにお祈りの声が止んだ気がしたから、また近所のオバハンが来てると思って、文句言ってやろうかとリビングに下りたんよ…」 「うん…」 「そしたら、声はおろか、リビングどころか家には誰もおらんのよ…」 友人はやたらと喉が渇くのか、飲み物のおかわりを頼んでました。 「何か気味悪くてさー。自分の部屋に戻って、布団かぶって寝たんよ」 確かにそんなお祈りかお経の様なモノが聞こえてきたら気味は悪い。 結局そのまま友人は眠ってしまったらしいのですが、夜になって友人の母と近所のおばさんは帰ってきたそうで、帰ってくるとすぐに、母とおばさんは友人のベッドの脇に来て、ブツブツとお祈りをしたそうです。 友人は文句を言う気力もなく、布団を頭までかぶって寝たふりをしていたそうです…。 「そのお祈りが二時間くらい続いたんよな…」 友人は届いた二杯目の飲み物を飲みながらそう言ってました。
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