弐之匣 第二十五話 ある宗教と友人 其之四

5/9
前へ
/286ページ
次へ
友人が自殺した日。 友人と父は一緒にゴルフの練習場に行ったそうです。 いつもならすぐに「帰ろう」と言い出す友人が、いつまでも父の隣のブースで練習を辞めなかった。 帰りに近くの遅くまでやっているスーパーでビールを買って、家に帰り風呂に入って、父親と一緒に遅くまでビールを飲んでいたと言ってました。 母にもビールを勧めて、ワイワイ話をしながら飲んでいたと言います。 その日、宗教の話は一切せず…。 明け方、飲み過ぎたので喉が渇き、トイレに起きた父が友人を見つけたそうです。 まだ、そんなに時間が経っていなかったので、救急車を呼んだのですが間に合わなかった…。 友人の父はそう話してくれました。 「遺書があったんですよ…」 友人の父はテーブルの上に、友人の手書きの遺書の封筒を出しました。 私もFもその封筒に手を触れることはありませんでした。 「中身は大体想像がつきます…」 私は友人の父にそう言いました。 「話は聞いてもらってたんですね…。ありがとう…」
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加