弐之匣 第二十五話 ある宗教と友人 其之四

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お経が終わった時、友人の父と母は涙を流してしゃくりあげていました。 「ありがとう…。ありがとう…」 私とFに友人の両親は何度も言ってました。 リビングに戻り、二人の話を聞くと、二人の前に友人が立ち、 「悪いモノは全部俺が持って行くから…。みんなは俺の分までしっかり生きて…」 そう言ったそうです。 そして、 「実は○○が死んでから、何度もこの家の中で○○を見たんです。ある時はそこに立っていて、ある時は寝てるベッドの横に、ある時はダイニングに座っていて…」 友人の父は涙を拭きながらそう言ってました。 「私たちは○○に恨まれているんだろうと勝手に思っていました。近々自分の息子を払ってもらうために神社の神主さんにお願いしに行こうとしてたんです…」 私とFは黙って聞いてました。 「でも○○の気持ちがわかって良かったです…」 そう言われて、感謝されて、私たちは帰りました。
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