弐之匣 第一話 足跡の無いカップル

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もう男性にはピンと来るはずなのですが、夜の歓楽街を楽しもうという魂胆のようです。 しばらくすると豪勢な御膳が運ばれてきて、私たちの転がってた場所に並べられました。 私たちは美味しい夕食を頂きながら、かなり飲んでました…。 食事をほとんど食べずに飲んでいる友人は、既にベロベロになってしまい、そのまま後ろにひっくり返って寝てしまいました。 「なんや、コイツ…。これからやっちゅーのに」 そう言って何度も起こしたのですが、一向に起きそうにないので、放っておく事に。 私はあまり飲まないのですが、その日はビール大瓶一本以上、日本酒を…どのくらい飲んだのかは覚えていません。 窓の外を見るとまた雪が降ってました。 神戸で雪が積もるなんて本当に稀な話で、珍しがって窓を開けて見ていました。 旅館の仲居さんが残ったご飯をおにぎりにして、地元のお漬物も添えて大皿で部屋に置いておいてくれました。 これがすごくおいしかったのを覚えてます。 夕飯が終わり、お膳が下げられると、みんなそわそわしだしました。 「さぁ…風呂に行くか…」 と言いながら丹前を着て外に行く格好を始めるやつなんかも…。 「行ってこいや…。別に止めんから」 私ともう一人の友人は笑ってそう言ってました。 あ、言い忘れましたが、友人Fも一緒なんです。 私とFは酔って寝てしまっている友人を部屋に置いて、風呂へ。 後の旅行会社の友人と、もう一人は外へ出かけてしまいました。
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