序章(幸成)夢で逢いましょう

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 気付くと幸成は不思議な砂漠の中にいた。空には雲ひとつ浮かんでいない。太陽がひたすらに輝いていた。  それは確かに砂漠の砂だった。しかし所々に石でできた塔のようなものが建っていて、その高さはどれも5mほどある。  どこまでもそんな砂漠が続いているが、ある方向には緑が見えた。どうやらそこには木々が生い茂っているようだ。  何より不思議だったのは、暑くないことだった。いや、暑くないどころか少し肌寒かった。明らかに昼間の砂漠であるのに、太陽が強く照りつけているのに、ひんやりとしている。  夢だ。そう、俺は確かにアパートの部屋で眠ったはず。こんなおかしな場所が地球上にあるわけがない。しかしどうせ夢なら、もっと楽しい夢がよかったな。
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