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彼女は白い息を青空に浮かべると、照れ臭そうにそれを指差す。
A「雪、降らせ過ぎちゃった」
その瞬間だった。
彼女の体がふわりと宙に浮かび、その周りに白銀の旋風が吹き荒れる。
驚いて周りを見渡すが僕以外の人間はそれに気付かない。
A「もう一回食べるまで絶対あきらめないぞ~って思ってたんだ。やっと食べられたからもう行くね」
B「ちょ、ちょっと待って、君は一体……あと行くってどこへ!?」
A「ずーっと北の方、まだ私の雪を必要としてる場所に行くの。ここにはもうすぐ春が来るから私はお邪魔になっちゃう」
そんな話を聞き、何となく彼女がどんな存在か理解したのだが、何もこんな状況で言うことないじゃないかと思った。
ハッと我に返り、最期に何かを言わなければと考える。
B「あ、あのさ! 来年もその……一緒に食べない?」
A「良いよ~君の顔も覚えたし、また来年戻ってくるね。ゆーびきーりげーんまん、約束!」
そう言って彼女は空の彼方に消えていった。
その日から僕にはある使命が科せられることになる。
来年彼女が戻ってくるまで、あの屋台が潰れないようにしなければならない。
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