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…カチャ
鞄のポケットに入れていた、冷たく錆びた鍵を取り出し、古風のドアを開ける。
自室にこもり、ベッドに寝転がると…
無意識に、ため息が出た。
別に、彼女と両思いだという確信があったわけじゃない。
ただ、この前。
『バレンタイン、誰かにチョコあげるの?』
そう僕が聞いた時、珍しく頬を染めて、はぐらかすように言った君の言葉。
『あげるのは、あげるよ…誰かさんに…。』
なんだよ…それなら、はっきり『○○くんに渡すんだよ』とか言えばいいのに。
自意識過剰男。
今の僕には、そんなレッテルが貼られるだろうな。
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