21 幸せは涙と共に

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そして式場を出て程なく、真友子は、相変わらず憮然としたままの彼に そっと尋ねた。 「大ちゃん、何か有った?」 だが、大祐は視線をやや俯けて正面を向いたまま、低い声で言ってくる。 「ごめん、まぁゆ。僕、もう帰りたい」 十年前の真友子なら、訳も言わずにこんな態度を取られたら、間違いなく 怒りだしただろう。 だが、管理職になって身に着いた寛容さと辛抱が、明らかにおかしい大祐を 受け入れた。 「分かった。じゃあ、帰ろう。 でも帰ったら、斜めになっちゃったご機嫌の理由を聞かせて欲しいな」 うん。 項垂れるように頷く大祐と、会話もないまま帰路につく。 そして、軋んだ空気を間に挟み、電車に揺られること小一時間。 「ただいま」 マンションに戻った時は、さすがに真友子の声も少し疲れていた。
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