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ところが、外にいる間あんなにも仏頂面だった大祐が、
リビングに入った途端に真友子を抱きしめた。
「ワガママ言って、ごめん」
真友子は、縋りつくように自分を抱きしめる大祐の背中を、そっと摩った。
「何か有ったの?」
一瞬、躊躇うように大祐は押し黙った。
そして、更にキュッと彼女を抱きしめ、項垂れるように彼女の肩に
顔を埋めた。
「まぁゆが、あんまり綺麗で……」
えっ?
ボソボソと聞き取り難いほど低い声でいう大祐に、真友子は思わず聞き返す。
だが大祐は、真友子の肩に顔を埋めたままで続けた。
「もう心臓がバクバクするくらい、まぁゆが綺麗で。
そしたら僕、顔も含めて、どこもかしこも力を入れてないと
泣きそうになっちゃって……」
ごめん。
消え入るような声で呟き、またキュッと真友子を抱きしめる。
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