21 幸せは涙と共に

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ところが、外にいる間あんなにも仏頂面だった大祐が、 リビングに入った途端に真友子を抱きしめた。 「ワガママ言って、ごめん」 真友子は、縋りつくように自分を抱きしめる大祐の背中を、そっと摩った。 「何か有ったの?」 一瞬、躊躇うように大祐は押し黙った。 そして、更にキュッと彼女を抱きしめ、項垂れるように彼女の肩に 顔を埋めた。 「まぁゆが、あんまり綺麗で……」 えっ?  ボソボソと聞き取り難いほど低い声でいう大祐に、真友子は思わず聞き返す。 だが大祐は、真友子の肩に顔を埋めたままで続けた。 「もう心臓がバクバクするくらい、まぁゆが綺麗で。 そしたら僕、顔も含めて、どこもかしこも力を入れてないと 泣きそうになっちゃって……」 ごめん。 消え入るような声で呟き、またキュッと真友子を抱きしめる。
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