21 幸せは涙と共に

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「大ちゃん」 真友子は、大きな背中に回した手で、そっと大祐を抱きしめ返した。 「ありがとう。綺麗って言ってくれて、嬉しい」 そして、優しく顔が見たいと大祐を促してみる。 すると、躊躇を滲ませ少し間をおいてから、真友子を抱きしめる大祐の腕が おずおずと緩められた。 大ちゃん。 真友子は、ションボリする大祐の頬を片手で包み、柔らかく微笑んだ。 「ドレス、気に入った?」 うん。 手の中の大祐の顔が、コクンと頷く。 「どっちの方が好き?」 フワフワ……。 呟く大祐の頬を優しく撫でながら、真友子も頷いた。 「うん。じゃあ、フワフワの方でお願いしておくね」 しかし、この日の事は単に二人の間の出来事ではなく、明らかに本番当日の 予兆だった。
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