21 幸せは涙と共に

12/21
前へ
/22ページ
次へ
いよいよ挙式が目の前となった初秋。 その頃には、大祐と真友子にも少しばかりの変化が生じていた。 まず、当たり前に週末を一緒に過ごす内に、一日の中で共有の時間と それぞれの時間が自然と定まってきた。 そして共有の時間として、真友子は時々大祐と一緒にサイクリングに 出かけるようになり、日曜の午前中は一緒に一週間分の買い出しに行くのが 常になった。 一方、仕事の面では、大祐の春の企画は惜しくも通らなかったが、 食玩のアイデアを買われて新たに食玩チームが結成。 その一員として、新しい仕事に加わることになった。 そして真友子の方も、お盆が明けた頃には新たに少し大きなプロジェクトが 開始。 こちらは下準備にいささか時間もかかるため、今度多忙期を迎えるのは師走を前にした頃だろう。 だが、その新しいプロジェクトを目前にした頃から、実は真友子の中で、 ある迷いが生じてきている。 このままじゃ、やっぱりダメな気がする――。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加