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そんなものを胸に抱えつつも式の準備は着々と進み、いよいよ迎えた当日。
彼らを祝福するように澄んだ秋空が広がる中、二人は揃ってマンションを後にした。
「今日からは、世間からも認められる正真正銘の夫婦ね」
真っ青な空を見上げ、真友子が朗らかに言う。
しかし隣を歩く大祐は、緊張しているのか、やや硬い表情で「うん」と短く
頷いてくる。
もぉ緊張しぃだなぁ、大ちゃんは。
真友子は、彼の手の中に自分の手を滑り込ませ、内心ちょっぴり苦笑した。
「大ちゃん、一生に一度のお式だからリラックスして楽しもう?」
うん。
素直に頷くが、やっぱり彼の顔にはありありとした緊張が浮かんでいる。
だが実は、これには、真友子も思いがけない裏事情が隠されていたのだった。
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