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「まだまだ未熟者ではございますが、これからは夫婦として互いに助け合い、暖かい家庭にしていきたいと思っております。
そして、いつの日か子宝を授かりました時には……」
ところが、それまで順調に進んでいた大祐のスピーチが、ふっと途切れた。
それでそっと隣の彼に視線を向けると、唇を噛み、溢れてきた感情を抑えようとしているのが見て取れる。
だから真友子は、少しだけ彼の方へと身を寄せ、そっと背中に手を乗せた。
そんな彼女の気持ちに応えるように、少しだけ呼吸を整えスッと視線を上げた大祐も、再び言葉をつなぎ始める。
「僕は、全く影の薄い平々凡々な男です。
でも彼女は、素晴らしい才能と知性とリーダーシップを兼ね備えた女性です。
もちろん妻として、母としても素晴らしいと思います。
けれど、それと引き換えに彼女の社会的才能を奪いたくないです」
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