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21 幸せは涙と共に
「まぁゆぅ、もう寝ようよぉ」
ソファの上で三角座りをした大祐が、前後に揺れながら誘ってくる。
「大ちゃんは、もうチェック済んだの?」
ダイニングテーブルに、届いたばかりの結婚式の招待状を広げ、真友子は
招待リストから目を上げ尋ねる。
しかし、相変わらずユラユラ揺れる大祐は、「明日やる」とブツブツ言って
くる。
大ちゃん。
真友子は、ジトッとした視線を大祐に向けた。
「悪いこと考えてるでしょ」
「ええぇ、今日は金曜じゃん。だから、悪い事じゃなくて良い事でしょ」
ちょっとからかうように言った真友子に、大祐は不服そうに口をとがらせた。
四月に無事に引っ越しを終え、一緒に暮らすようになって三ヶ月。
シミュレーションが功を奏したのか、スタートはスムーズそのもの。
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