21 幸せは涙と共に

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しかも、五月の連休までは真友子の仕事も余裕があり、毎日一回は食事を 一緒にする内に、イモ類以外の彼の好みも見えてくる。 そしてそんな中、驚いたことに一緒に住み始めて程なく、大祐から料理を 教えて欲しいと頼まれた。 「すぐに上手くなんてなれないのは、分かってる。 でもさ、これからずっと一緒に暮らすんだから、まぁゆが忙しい時くらい 簡単な物でも僕が作れたらって思うからさ」 こんな素直な優しさに、真友子は少なからず感激した。 だが、包丁を持ったことすらないというのだから、道のりは決して容易くは なさそうだ。 だからスタートは、米の研ぎ方と炊飯器の使い方から。 ところが、やり始めてみると、ジオラマのような細かい作業が得意なだけに 上達度合いは悪くない。 実際、最初は目玉焼きすら焦がしていたのに、ゴールデンウィークが明けて 間もなく真友子が多忙期に入ってからは、まだまだ未熟ながら、焼きそばや 親子丼などを作ってくれるまでになっている。
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