21 幸せは涙と共に

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エレガントなマーメイドドレスを纏い、少し体を捻るようにしてみる。 しかし大祐は、相変わらず強張った顔ままで、「うん、きれい」と呟くように言うだけ。 そんな彼の様子に、空かさずスタッフはフォローに走った。 「あっ、ご主人様は、ふんわりドレスがお好みとおっしゃってましたものね。 そちらの方も、お試しになられてはいかがですか?」 だから真友子は、ちらりと淡い苦笑の眼差しをスタッフと交わし、 素直に試着室へと戻っていった。 しかし、試着の最中に何かあったのか。 今度はオーガンジーをたっぷりと利かせたフワフワスカートのドレスで出て みた時には、既に私服に着替え終えた大祐の顔は、完全な仏頂面。 そして、隙なく暗雲が立ち込めた空気に、真友子もスタッフもこれ以上の 試着は無理だと思えた。 「あの、私はどちらも気に入りましたので、お返事は一週間以内にさせて 頂きます」 取り繕うように笑顔をスタッフに向け、真友子は、なぜか憮然としている 大祐を連れ出す。
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