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指切りげんまん
少女は実家で過ごす最後の夜を自室で過ごしていた。親が開いている自分を追い出すための宴会にも、集まった人々に掛けられる上辺だけの祝言にも価値なんて見いだせなかったからだ。少女は窓辺に座って外を眺めていた。その窓からは漣の音が絶えず聞こえていた。その音に耳を傾けていると、少女はその中に『音』を聞いた気がした。最初は空耳かと疑ったその『音』だったが、今度は『声』として少女の耳に届いた。
その『声』は落ち込んでいた少女の心を明るくさせた。
「わかったわ。また、明日ね。約束よ。」
少女は笑顔を浮かべて、ソトに小指を差し出した。
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