中性的飽和

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中性的飽和

友達の一花は放課後をとても楽しみにしていた。 大好きな彼に会えるからと。 学科が違うため、会えるのは放課後の部活が始まる前限定。 休み時間や昼休みは友達優先。 恋愛気質の一花とは違って、彼は何事においてもバランス良く過ごしている。 会えない間は文字や声のやり取りで過ごす。 だから時々、一花がポロリと悩みの種、寂しさをこぼす。 「本当に好きで付き合ってくれたのかな?」 「嫌いな人と付き合ったりしないよ。それこそ罰ゲームだよ。  もう少しで半年。好きじゃなきゃ長くなんて続かないよ。  でも一花も成長したね。前はメールや電話だけだと耐えられないとか言ってたのに。」 「わがまま言って嫌われたくない。  今の状態がきっと、歩くんと長く一緒にいられる方法なんだと思うし。」 「本当、健気。成長したね~。」 人は恋をすると綺麗になる。 キラキラして見える。 その幸せそうな顔を見ていると、こっちまで幸せな気持ちが伝染してくる。 羨ましくさえ思う。 そして今日も大好きな彼に会うため、笑顔で教室を出て行った。
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