★敗北した魔女の末路★

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★敗北した魔女の末路★

 ………おかしい、何で何時までも剣が首筋に来ないのだろうか? それとももう既に俺の首は落されていて死んでしまっているのだろうか。 少し目を開けて確認してみるか。 そぉ~と そぉ~と ぱちりっ! ん? 何だ? レイの姿が目の前に見える、でも様子が変だ。 何が変かというと手には何故か剣がなく、うなだれて息を切らしている様子だったからだ。 俺が目を閉じている間に何があったんだろう? 「レン君! うぅよかったぁ! 間一髪のとこでレイの魔力が尽きて」 「エルマ、魔力が尽きたってどういう事? というか今レイって言った?」 「うん、レイの魔力が切れたおかげで出現させていた魔法剣が消滅して首を切り落とされずに済んだんだよ!」 「そうなんだ、ところで同じこと何度も聞くようだけど今レイって言ったよね?レイちゃんと同じ名前だから気になったんだけどただの偶然か?」 「レン君は知らなかったね」 「何を?」 「水無月レイの正体のことさ」 「正体って、異世界から迷って来ちゃった女の子だろ?」 「違う、水無月レイの正体はそこにいるクレイジー女だ!」 「えっ? 何を言ってんだよエルマ? レイちゃんがこいつなわけないじゃんか」 「確かに見た目や性格が全然違うから分からないのも無理はないとは思うけど、でも本当なんだ! 水無月レイの正体はこの女、五月雨レイだ!」 「そんなぁ……でもどうやって体格を変えてるんだ? どう考えても無理だと思うけど」 「それはレイの得意な時間系魔法で自分の体を大人にしたり子供にしたりして私達を欺いていたんだ!」 「マジかよ………。」 ショックだ、あんなに良い子だと思っていたのに正体はあの狂人女なんて。正直信じたくなかった。 「レン君…………。」 あぁレン君、予想していた事だけどすごく落ち込んでいる。 そうだよね、レン君にとって愛らしい女の子が狂人だったなんて衝撃的な事実だったよね。 本当はこうなる事は分かっていたからずっと黙っていようと思っていたけど、何も知らないままレイの手のひらの上で踊らされているレン君をこれ以上見たくなかった。 だから本当のことを話した。 「レン君! 落ち込むのは後にして今は目の前のレイに集中して!」 「……了解………そう言えば何でさっきからレイはうなだれたまま動かないんだ?」 「あぁそれはさっきも言ったように魔力が切れてしまったから動けないんだ、この世界では魔力が力の源だからね」 「そうなのか、てことは結果的に俺達は勝ったと言うことか?」 「まぁそういうことだな、だけど油断はするなよ! アイツは追い込まれると強くなるタイプのようだからな」 「わかった! でもエルマぁ、レイちゃん…いや、レイの処遇はどうするんだ?」 「もちろん処刑よ! 動けない今、娘を痛めつけてくれた報いを受けてもらう!」 「お母さん?」 「ほえ? お母さんだって?」 「あぁそうだよレン君、この人は私のお母さんだ」 「えっ? えぇえええええええ!?」 「初めまして、エルマの母のルージュと申します、よろしくねレン君」 「あぁはいこちらこそ」 どうりでエルマに似ているわけだ、親子だったとは。 でもエルマってエルフだよなぁ、エルマのお母さんってエルフに見えないが。 悪魔のような羽も生えているし。 エルマのお父さんがエルフなのかな? そうじゃなければエルマがエルフであるわけがない。 おっと、今はレイのことを考えなくてわっ! 「エルマのお母さん」 「ルージュでいいわよ」 「ではルージュさん、具体的にレイをどうやって処刑する気なんですか?」 「そうねぇ、まずは全身の隅々まで流れている生き血を吸い尽くしてから体をバラバラに引き裂いて殺してやるつもりよ」 「結構残虐なやり方ですね」 「当然よ! この女にはそこまでやらないと気が済まない!」 「お母さん……。」 確かにお母さんの言う通り、レイはここで殺しておかないと危険だと思う。 ただレン君も言ってたがやり方が残酷すぎる。 ヴァンパイアである考え方なのか、それとも私が痛めつけられたことによる怒りから来る発想なのか、どちらにせよこのやり方はダメだ。 それにレン君が辛そうだ、このままお母さんに処刑をさせたらレン君はきっと絶望するだろう。 だからここは私が! 「ねぇお母さん、レイを殺すのはやめておこうよ」 「何を言ってるのエルマ! この狂人を見逃せと言うの!?」 「見逃せとは言わない、ただ殺さなくても他にやり方があるわ!」 「他のやり方って話し合いで解決しようとしてるのかしら?」 「違う、そんな事じゃあレイは身を引かない」 「じゃあどうするつもり?」 「レイの……五月雨レイの時の記憶を消す! そうすることで水無月レイとしての人生しか歩めなくなる! それでもう充分な罰になる!」 「確かにそれで罰にはなるけど、もし失った記憶をレイが取り戻したらどうするの?きっと今度は巧妙な策を練り復讐に来るわよ」 「その時はまた倒せばいいだけさ!」 「はぁ、わかったわよ、命拾いしたわね五月雨レイ」 「…………くっ……きお…くが……なくなる?」 「それじゃあエルマ、レイの記憶を消しなさい」 「うん!」 「私の記憶が消される? 娘の事も忘れてしまう?い、いやだ……そんなのは…嫌だ!」 「五月雨レイ、五月雨レイとしての記憶を失い水無月レイとしての人生を歩め!」 「メモルディアエル!(記憶を失え!)」 「レイラちゃん……ルチアちゃん………忘れ……た…く……ない!」 思考が薄れていく、段々と意識が……娘たちの事、私の目的…………。 レイラちゃ…ん……ルチアちゃ……? あれ? レイラとルチアって誰だっけ? 思い出せない……色んな事が分からなくなっていく。 自分の目的、名前、顔、どんどん思い出せなくなっていく。 恐い! 自分が自分でなくなっていくのが! 恐くてたまらない! 「あ…あぁ! あぁああああああ!」 ドサッ! 「どうやら私の魔法で記憶は無くなったようだな、身体が子供の姿になって気絶している」 「当然の報いね……エルマ、この子供になったレイをどこに捨てるの?」 「お母さんの発想はどうしていつもそうなのかな?捨てないさ、今までどおり私の家においとく」 「貴女はどうして危険なことばかりしたがるのかしら?」 「……………。」 「わかったわよエルマ、貴女のすきにしていいからそんな恐い顔でじっと私を見るのは止めなさい」 まったく、どうしてエルマはこの女の味方をするのかしら? それにさっきから私にレイの処遇の提案をする際にエルマが何処かを見ている、いったい何処を………。 あぁ~あ成る程ねぇ、ついに私の娘にも好きな人が出来たのねぇ、可愛い♪ レン君、貴女は私の娘の心を奪った、さっき出会ったときより興味が湧いてきたわ。 ふふふ、五月雨レイ……レン君に感謝しなさい! エルマが貴女を庇ったのはレン君に嫌われたくないからよ。 ふぅ~ さてと、私は邪魔にならないように退散しますか。 「エルマ私はもういくわ、元気でやるのよ♪」 「えっ!? もう行っちゃうの?」 「えぇ、私も目的を達成するために旅を続けなくてはいけないの」 「そっかぁ………。」 「そんなに落ち込まないの、また来るわよ」 「わかった……。」 「まったく………。」 むぎゅううううう! 「わぁっ! お母さんハグはやめて! レ、レン君が見てる!」 「いいじゃないのぉ♪ 親子でハグくらい、ねぇレン君」 「あぁ、俺に構わずハグしてなよエルマ」 「気になるわっ! んん~!」 「ふふふ……エルマぁ、私の可愛い子♪ もっとハグしてあげる♪」 むにゅううううううう 「ほわぁあああ、もうやめてぇえええええ!」 暫く私はレン君に見られながらお母さんにハグをされるという辱しめを受けた! うぅううう~ 恥ずかしぃ。 朝の八時、私は窓から差し込む太陽の光で目を覚ますとベッドにいた。 頭がぼぉとしているせいかこの世界に来てからの記憶が少し曖昧だ。 まるで記憶の一部が無くなったような感覚がする。 でも忘れてしまうような記憶ならきっとどうでもいいことなのだろうと思い、考えるのをやめた。 「う~~ん! 背筋を伸ばすと気持ちよいですねぇ」 ちゅう! ちゅう! 「あぁ~ おはよう♪ レイ、プチ、今日もいい天気だね♪」 ちゅう! 「ふふふ、二人とも元気そうだね」 可愛いハムスター達です、なでなでしてあげます。 「よしよし、二人ともそろそろみんなのところに行きますよ」 チュ~ウ! 私は扉を開いてからハムスター達を手のひらの上に乗せて部屋を移動した。 するとレンさんと少し怖いエルマさんがいた。 あれ? 何でエルマさんのことを少し怖いと思ったのだろう? そもそもここに来た頃の記憶があまりない。 でもまぁ先ほどと同様で忘れても大丈夫な記憶なのだろう。 「レンさん、エルマさんおはようございます♪ 」 「おはようレイちゃん!」 「おはようレイ、よく眠れたかしら?」 「はい、よく眠れました♪」 「そう、それならよかったわ」 「ほえぇ~ エルマが他人の睡眠のことを気にするなんてどうしたんだ?熱でもあるのか?」 「うっさい正常だ! 張り倒すぞ!」 「冗談だよ、分かってるって! ちょっとからかっただけだ」 何だろう、何時もの光景なのに見慣れないように感じるのは? ちょっと聞いてみるかな。 「ねぇレンさんエルマさん、一つお聞きしたいことがあるんですけど」 「何かなレイちゃん?」 「レンさんとエルマさんが親密になったのって何時ごろからでしたっけ?」 「えぇ? そうだなぁ……多分―ごふっ!」 何だ? エルマが俺の脇腹を強い力で突いてきた! 「そうねぇ、貴女と出会う前からかしら?」 「そうなんですねぇ♪」 前から…かぁ……どうやら私の記憶が曖昧なのはただ忘れてしまっただけのようですね。 もしかしたら記憶を消されたのかとも思いましたが違っていたようです。 エルマさんやレンさんの答えが私と出会った時以降の日に親密になった、というような内容であれば流石の私でも覚えているはずですからね。 でも私と出会う前からでは私が気づいてなかっただけですから関係ないですね。 「いてててぇ、エルマぁ何で俺を小突いたんだ?」 「レン君、後で外で話そう」 「ん? 分かった」 何だ、エルマがいつになく真面目な顔をしている。 もしかしてレイちゃんにかかわることなのかな? だとすれば話し合うチャンスを作らないと。 「ねぇレイちゃん、俺たちは森を探索しようかと思うけどレイちゃんはどうする?」 「森ですかぁ~ そうですねぇ、私はやめときます」 「そうかぁ、分った! それじゃあ行ってくるね」 「はい! 行ってらっしゃい」 よしよし、予想通りレイちゃんは森に行かないことを選択した。 これでエルマと密談が出来るな。 ん? 何で予想通りかって? それはチャンスを作らないとと思った時にこの魔法剣の予測能力使って見た未来がこの光景と同じだったからだ。 この魔法剣未来予測まで出来るとは、いや元々出来てたか。 よく考えたらレイの攻撃も予測してたからこそ防げたしな。 さてと、では密会の為に戸を開けて森に入りますか。  エルマと俺が暫く森の奥へと歩き続けること三十分、少し広いとこに出たのでそこで休憩と密会をする為に地面に腰かけた。 「さぁエルマ、話してもらおうか! レイちゃんの前では喋れなくて俺を小突いた理由を!」 「レン君、水無月レイを……いや、五月雨レイを侮らない方がいい!」 「どういうことだよエルマ、レイちゃんはもう五月雨レイだった時の記憶は失くしているはずだろ?」 「あぁ、私もそう思ってたがどうやら少し違うようだ」 「えっ!? でもレイちゃんと話した時俺達に負けた時の記憶がなさそうに見えたが」 「レン君、気づかなかったのかい?」 「何が?」 「レイが私達のことについて質問してきただろ? あれは自分の記憶を私達に消されたかどうかの確認の質問だったのさ!」 「悪い、どういうことか全然理解できないが?」 「もしあの時レン君が最近と答えれば最近までの記憶が無くなったことに気づく、その場合魔法で消されたか事故にあって無くしたかと考えるだろう」 「そうかな? ただ忘れてしまったという考えも出るんじゃないのか?」 「それもある、だがレン君! もしも朝起きたら私と出会った時の記憶が思い出せなくなっていたら変だと思わないか?」 「ん~ 確かに変だとは思うが前の事なんて忘れることもあると思うけど」 「それがもし最近の記憶まで一緒に思い出せなくなったとしたら?」 「え? いやまぁ不思議にはなってくると思うけど確かめるほどでは」 「はぁ~ レン君は思い出を大切にしない性格なんだなぁ、でもまぁレン君の考えが正しいのかもしれないわね」 「いきなりダメ出しされた!?」 「う~ん! ちょっと整理してみるか」 「ちょっとダメ出しの件は!?」 「………よしっ! とりあえず憶測だけどまとめたわ」 「えぇ~!」 「レン君、今まで私の質問に答えた内容を頭に浮かべたまま私の話を聞いて」 「わかった」 「まずレイの視点で考えてみたんだけど、多分朝起きたら記憶がないと思ったはずよ!何なら最近の記憶も曖昧になっていると思ったかもね」 「曖昧に?」 「そう、五月雨レイとして活動していた記憶が全部消されているからだ」 「なるほど」 「そしてレイはさっきレン君が言っていたように最初は不思議とは思ったが記憶が無くなった理由を確かめるほどではないと考えた」 「うんうん」 「ただ今私が言った考えはレイの最初の考えで、私達と部屋で会った時に変わっていると思う」 「どんな風に変わったと思うんだ?」 「恐らく私たちの会話を見て前からこんな感じだったかと疑問を抱いたと思う、そしてその疑問は強くなり何時からこんな感じになったのかと私達に質問をした」 「それがさっきエルマが言ってたやつだな」 「うん、それで質問の結果により記憶は魔法で消されていないと判断した」 「だけども彼女の性格上これで謎というしこりがとれたとは思わないだろう、きっと何かしらの方法でいつかまた確認してくるはず」 「何故なんだ? 記憶を消されたというせんが消えたのなら他の考えになるだろ普通」 「普通はな、だがレン君も知っての通りアイツが大人になったらあの狂人だぞ!油断しない方がいいに決まっている!」 「それにレイは人を信用しない性格だ、また疑ってくる」 「でもその性格って五月雨レイの時であってレイちゃんではないだろ?」 「レン君は可愛いほど考えが浅はかだね」 「馬鹿にしているのかエルマ!」 「いいかい? 人の性格というのは過去の人生経験から形成されていくものなんだ、ということは水無月レイにだってその性格が備わっている可能性だってあるんだよ」 「その証拠に彼女の話し方や接し方には何か距離を感じるもの」 「それはエルマが最初に会った時に外に放置したからではないかと」 「うるさいっ! それより分かった? 絶対に油断しないことだよ!」 「わかったエルマ、油断しないよ」 「まったくぅ、本当に大丈夫かぁ?」 「大丈夫だって、それよりこの話はとりあえず終わりにして探索しようぜ」 「はぁ、やれやれ」 スタスタスタ 「待ってよレン君!」 私はスタスタ歩いて行ってしまうレン君を小走りで追いかけた。 ん? 何だろう誰かに見られているような視線を感じる。 くるんっ! 誰もいない、気のせいか? 「エルマどうしたんだぁ?」 「何でもない、今行くよ!」 そう、何でもないさ……でもなんだろう、この胸騒ぎは…。 何かミスを犯した気がするのは…………。 そう言うことだったのね、あとをつけてきて正解だったわ。 やっぱりエルマさんとレンさんは私の記憶を奪った、理由は分からないけど酷いっ! いくら理由があったって私の思い出を奪うなんて。 でもどうして奪ったの? 私が何をしたというの! 「はぁ、エルマさんはともかく信じていたレンさんまでグルなんてショック……。」 「でももしかしたら記憶を返してと頼めば返してくれるかな、いや返してくれるわけないかぁ」 「どうしようかぁ………。」 「ならば他の方法で取り戻せば?」 「えっ!? 今の声はなに?」 「どこ見ているの? 水無月レイ、ここよここ! 貴女の右手の中よ♪」 「ほえ? 右手の中って…私の魔法剣オルガ・クロウディアしかな……い?」 「えぇえええええええ!? まさか剣が喋った?!」 「落ち着きなさい水無月レイ! 剣が喋ったくらいで騒がないの!」 「剣が喋れば誰でも驚くと思うけど…………。」 「おだまり!」 「はいぃいい!」 「そんな事より貴女は記憶を取り戻したいんでしょ?」 「うん! 取り戻したい! それに何でエルマさん達は記憶を奪ったのか知りたいっ!」 「ならば私の声を聞きそれに従いなさい、水無月レイ」 「わかりました、でもその前に一つ教えて! 貴女は誰なの?正直素性が分からない相手の言うことを聞くのは恐いから」 「ふふふ、流石は私ね……。ちゃんと警戒することを忘れない」 「えっ!? 私ってどういうこと?」 「私は記憶を奪われる前に貴女が無意識に作り出した思念体、つまりは貴女自身よ」 「私自身? でも何でそんなものが出来たの?」 「そんなものって失礼な……まぁいいわ」 「出来た理由はこうよ、貴女が記憶を失う直前無意識に今までの記憶をバックアップしたの」 「ただ記憶をバックアップするには保管する場所が必要なのよ」 「保管する場所……あぁ! もしかして!」 「そう、貴女は自分の剣の中に記憶を入れた、それも五月雨レイだった時の意識と一緒にね」 「…………?」 「あぁ~ つまり簡単に言うと一人の人間の感情や意識、記憶が別れたと言うことね」 「つまり貴女は水無月レイ、私は五月雨レイという感じにそれぞれ別々の存在になったと言えばいいのかしらね?」 「私に聞かれましても……でもそれなら私と貴女が一つになれば私の記憶は戻るの?」 「まぁそれが簡単に出来ればねぇ」 「どういうこと? 簡単には融合は出来ないの?」 「えぇ、融合するには特殊な魔法が必要なの、でもその魔法は私達には出来ない」 「知識がないから?」 「それもあるけどそうじゃないわ」 「知識くらいならつければいい、でもこの魔法はそもそも自分自身にはかけられないのよ」 「じゃあどうするの? 誰かがかけてくれるのを待つの?」 「それは期待できないわね、私達は世間的には悪党だから」 「悪党なのは私達ではなく貴女だけなのでは……。」 「なに言ってるのよ! 私はいわば貴女のクローンよ!オリジナルである貴女の方がむしろ悪党なのよ!」 「記憶を失っているからって私悪くないなんて言わせないわよ!」 「ご、ごめんなさいぃ!」 「はぁ、でもまぁ貴女からすれば訳が分からないわよね」 「…………。」 「悪かったわよ怒鳴ったりして、私が強く言い過ぎたわ」 「…………………。」 「だから無言で片目から涙を流してこちらを見るのは止めてちょうだい」 「うぅ…ひっぐ、ひっぐ」 「あぁ泣かないでよ、私が大人げなかったことも謝るから」 はぁ~ 水無月レイ時代の時の私はメンタルがここまで弱かったとは。 次はもっと慎重かつ大人の対応をしなくては。
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