★魔女様との危険な探索★

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★魔女様との危険な探索★

レン君と森を探索すること一時間、さすがのこの私もヘトヘトになっていた。 無論レン君はもっとヘトヘトだった。 何故こんなにヘトヘトになってしまったのか、その原因は今から二十分前の事だった。 ◆回想開始◆ 「エルマこの森ってさぁ、魔物が出るのは分かってるけど具体的にどのくらいの大きさまでの魔物がいるんだ?」 「そうだねぇ、小さいものからだとレイがつれてきたハムスターぐらいのサイズから大きいもので五十メートルぐらいの魔物がいるなぁ」 「五、五十!? それってこのぐらいのサイズか?」 ペチペチ 「そうそう♪ そのレン君がペチペチとしている物体ぐら……い!?」 グルルルルっ! 「うわぁああああ! レ、レン君!! そいつから離れて! 魔物だぁ!」 「魔物? おいおい魔物がどこに……っ?!」 グルアアアアっ! 「な、なぁエルマぁ………魔物ってこ、このペチペチしてた黒い物体のこ、と?」 「そうだよレン君! レン君がペチペチしていたのは『ディアボロス・ドラコ』というドラゴンだよ!」 「ドラコ? 何だか可愛い名前だなぁ」 「可愛いなんてとんでもないっ! こいつに殴られたら即死だと思えっ!」 「そ、即死?! ヤバイじゃん早く逃げよう!」 グルルル 「うわぁすっげぇ見てるし唸ってる」 「レン君、いちにのさんで逃げるよ」 「わかった」 「それじゃあ、いちにの――」 グルァアアアアアア! 「さん! 走れぇええええええ!」 「うおぉおおおおおお!」 逃げろ! ひたすら逃げるんだ! 追い付かれたら終わりだ!てかエルマの奴飛んでるじゃん! ずるいぞ! 「グルオオオ! 逃がさん……殺す!」 「おいぃいいい! あのお方喋ってるぞ! しかも殺すって!」 「それはプライドの高いドラゴンにペチペチすれば殺しに来るに決まっているじゃん」 「だってまさかあれが魔物なんて思わなかったんだもん!」 グルァ! ガキンッ! 「うおっと! あ、あぶねぇ……もう少しで食いちぎられるとこだった!」 「レン君無駄話してないで全力で走れ! 殺されるぞ!」 「分かってるよ! いいよなぁお前は飛べて」 「良くない! 浮遊呪文だって魔力を使うんだから大変なんだ!」 「じゃあ走ればいいじゃん」 「私は足が遅いんだ! 食い殺されてしまう!」 「お、おう……そうなんだ………。」 この魔女さま足が遅いことを躊躇なく明かしたな。 エルマの性格上自分の欠点を明かすことはないと思っていたけど、エルマにとってもこの状況は最悪というわけか。 「それにしてもこいつしつこいな、まだ追いかけてくる」 「ドラゴンは基本侮辱してきた相手を殺すまで追いかけてくるという厄介な種族だ」 「えっ!? じゃあ俺は一生追いかけ回されるのか?」 「多分今逃げ出せたとしてもまた見つかれば殺しに来るだろうな」 「そんなぁ! どうすればいんですか、エルマ大先生!」 「確実な安心を得るには殺されるまに殺すしかない、だけど今のレン君ではそれは難しいだろう」 「…………なぁエルマ、もし作戦があるのなら教えてくれないか?勝てるかは分からないけど、やるだけやりたい!」 「私は出来ればレン君に危険な目に遭ってほしくない、でもレン君がやりたいと言うようであれば作戦はある」 「どんな作戦だ」 「とりあえず追われたままじゃ話せない、いったんアイツをまくぞ!」 「了解! と言いたいとこだけどどうすればいんだ? 流石に走るのがきつくなってきたぞ!」 「こうするんだ! バドルディア!(足止めせよ!)」 バシンッ! 「グルアァ! な、なんだぁ! 足に絡み付くこの金色に光っている草は?!」 「エルマこの魔法は何だ? ドラゴンの脚に絡み付いている草は何だ?」 「あれは敵を足止めするための蔓草の魔法さ、これでアイツは暫く動けないはず」 「だったら最初からやればいいじゃんか」 「この魔法は数分の魔力チャージと周りに蔓草がないと駄目なの!」 「ごめん俺が悪かったから怒るのはやめてくれ、それより今のうちにアイツをやっつけちまおうぜ」 「まぁ待ちなよレン君、今行ったらアイツお得意の波動砲をくらうぞ」 「アイツそんなのまであるのか……。」 「とりあえず予定通り身を隠すよ」 「ああ!」 「おのれぇ! 待ちやがれぇ! この屑どもがぁ!」 「あいつ口悪いな」 「レン君! そんなやつほっておいて逃げるよ!」 「はい………。」 怒られた……でも俺が悪かったんだ、何も言えない………。 「…………………。」 ごめんねレン君、怒鳴り口調で言って……。 でもこうしないとレン君すぐに油断してしまうから。 戦場での油断は命取り、レン君が油断した結果殺されてしまうのは嫌だ! だからやりたくはないけど戦闘中は厳しくしないと! 「レン君、このまま走ると巨大な木がある、そしてその巨木の下の方には人が隠れられる大穴が空いてるからそこに隠れよう!」 「穴かぁ、よし! それじゃあ残りの力を振り絞って向かおう!」 ◆回想終了◆ さて、回想を終えたのでレン君に作戦を伝えなくては。 「レン君大丈夫かい?」 「なんとかな、それより作戦を聞きたい」 「わかった、作戦はこうだ! まず私が魔法でアイツの動きを封じる、そしてその隙にレン君の魔法剣で奴を討てっ!」 「討てって、具体的にどうすればいんだ?」 「具体的にって……普通に私が足止めしている間にドラゴンの後ろに回り込み後ろからズバッと剣でぶった切ればいいじゃないか」 「エルマの説明基準と普通の度合い基準はどうかしてるのか?」 「喧嘩売ってるの?」 「滅相もございません………。」 「まったく、それでこの作戦にのるの? のらないの? どっち?」 「のる! その作戦でやらさせていただきます!」 「よし! では今のうちに回復魔法をかけるよ!」 「えっ!? エルマって回復魔法出来たの?」 「できるわっ! 私は大魔導師エルマ、その程度の魔法はできる! というか私の家にあった回復薬だってただの水に回復の魔力を入れて作ってるんだ!」 「そうか、じゃあお願いしようかなぁ」 「まったく……リゼリアル(癒しの力よ)」 おぉおおおお! すごい! どんどんと体力が回復していく! それに走りすぎたせいで痛くなっていた身体も痛くなくなってきた! 「すごいぜエルマ! 俺お前のこと今まで横暴の魔女様だと思ってたけど癒し系の魔法を使う僧侶的な一面もあったとは見直したよ!」 「誉めたいのかけなしたいのかどっちかにしろ! もっともけなしやがったら治す前より酷い身体にしてやるがな!」 「すみません貴女様は偉大なる魔女さまです!」 「ふん! 分かればいいんだ、それよりこれで元気になったのならアイツの元にいくよ!」 「おう! 俺のこの剣でぶっ倒してやるぜ!」 「そのいきだレン君! それじゃあ行くよ!」 「おりゃあああああああ! 行くぜぇ!」 タッタッタッタッタっ! 「見えてきたぞレン君! ディアボロス・ドラコだっ!」 「よしっ! では再戦といこうか!」 グルオオオオ! 「すごい雄叫びだ! 鼓膜が破けそうだ!」 「レン君はまだいいじゃないか、私なんか人間の五倍聴力があるから耳を塞いでも破けそうだ!」 「へぇ、エルフってそんなに耳がいいんだ」 「そうさ、でも今はそれがあだになっている、耳を塞いでいるから呪文が唱えられない!」 「なにぃい!? それじゃあ作戦失敗か?!」 「うぅうう、このエルマの作戦に失敗なんてないっ!アイツの口に向かってそこら辺にある石ころを投げるんだ!」 「え? 石を? でもそんな事したら俺の耳は?」 「最悪鼓膜が破けても私が治すから大丈夫だ!」 「発想がサイコパスだ、というかそれならエルマが鼓膜が破ける覚悟で足止め魔法を唱えればいいじゃないか」 「レン君は女の子にそんな事をさせたいのかい?」 「うっ、それは………。」 「まぁそれは冗談として、単に鼓膜が破けると魔法が唱えられなくなるだけだけどいいの?」 「それは困る……わかったよ、俺がやる!」 「よし、それでこそ男の子だよレン君!」 「おうよ! それじゃあいくぜ!」 「グルアアアア!」 「石ころを喰らえ! ディアボロス・ドラコぉ!」 ブンッ! 「がふっ!? グホッ! ゲホッゲホッ!」 「やったぜ、うまく喉奥に石当たったようだ! あいつ咳き込んでやがるぜ♪」 「よくやったよレン君♪、これでアイツの雄叫び攻撃は止まったよ」 「ははは、やってやったぜ」 「耳は大丈夫かい?」 「なんとかな、耳鳴りは少ししているけど」 「よかったぁ、でも耳鳴りがするならこいつを倒した後に回復してあげるね」 「どうも、それじゃあエルマ、今のうちにこいつの動きを封じてくれ」 「はいよ♪ バドルディア!(足止めせよ!)」 バシンッ! 「おのれぇ、また蔓草を! 小娘がっ!」 グググググ 「こ、こいつ…魔法で操っている蔓草を引き千切る気か!」 「グルオオオ、こんなもの引きちぎってくれる!」 グググググっ! 「くそうっ! 私は大魔導師エルマだ! 負けるものかぁ! うおおおおおおっ!」 ブチッブチッ! 「あぁ! エルマの魔法の蔓草が引き千切られた!」 「そ、そんなぁ! このエルマの魔法が破られるなんて!」 「ガハハハハハっ! この俺様に二度も同じ技が通じると思ったか!この間抜けな小娘が!」 「…………………。」 「エルマ……。」 うわぁ目に光がない、すげぇ落ち込んでいるようだ。 まぁそれもそうか、普段から自分のことを大魔導師と言っているほど魔法には自信があったのに破られちゃったんだからな。 「…………………。」 やっぱり無言だ、可哀想に、でもまぁ元気になってもらわないと困るから元気づけるか! 「エルマ、エルマ! しっかりしろ! ぼぉーとしてたらやられるぞ!」 「やられてもいいじゃないか、こんな凡魔女なんて……。」 「なに言ってるんだよ! お前は凡魔女じゃないし、死んでいいわけないだろ!」 「………。」 「それに、大魔導師エルマはたった一回魔法を破られたくらいで落ち込むのか?」 「レン君は知らないんだ、私の気持ちなんて」 「えっ?」 「ここ最近の私は魔法を破られっぱなしなんだ、それで何が大魔導師だ!」 「いやまぁ大魔導師だってしくじることもあるさぁ、現にあの強敵レイだって負けることがあるくらいだし」 「……………。」 まずいなぁ、こりゃあ相当重症だな。 「おい貴様ら! この俺様を無視するなっ!」 「うるっせい! 今黙ってろ!」 「は、はいぃ~」 くっ、このディアボロスを無視するとは生意気なぁ! ん? というか今のうちにあいつらに攻撃をすればいいのではないか? がハハハハ! そうだ! そうすればいい! 「おい貴様ら、こいつを喰らえ! ギエルディアデス!(破壊せよ!)」 「何だ、ディアボロス・ドラコが魔法を唱えてきたぞ。でも大した魔法じゃなさそうだぞ、威力が弱そうだ」 ヒューン 「ははは、こんな指先サイズの魔法じゃ当たっても大したことなさそう――」 「マイマスター逃げて!」 「うわっ! ビックリしたぁ、急にどうした?」 「どうもこうも早くその紫色の玉をかわしてください、当たれば即死ですよっ!」 「当たれば即死!? ま、まさか、でも一応避けるか」 ホイッと これでよし! このまま行けば避けられた魔法はそのまま奥にある木にぶつかり消え去る、そしてその後反撃開始だ! ドゴンっ! え? 何だ今の音、何かが壊れるようなどデカい音が……。 いったい何が………!? 俺は魔法が飛んで行った方を見て驚いた。 さっきまであった木が消し飛んでいるのだ! 「嘘だろ?! 木が消し飛んだぞ!」 「当たり前です! ディアボロス・ドラコの魔法は破壊魔法、木を消し飛ばす事なんて簡単に出来ます!」 「へぇ……そ、そうなんだぁ~ じゃあもし当たってたら俺の体は………。」 「木っ端みじんです! 避けようとしないなんて馬鹿なんですか!」 「すみません………。」 「まったく、次は気を付けてくださいね」 「はい……。」 「では次の攻撃に備えてください、ディアボロス・ドラコ攻撃またしてきます」 「わかった」 「それとエルマさんは今戦意を失っています、厳しいことを言うようですが戦いの邪魔にしかなりませんのでどこかに移動してもらってください」 「本当に厳しいことだな、でもこのままじゃエルマは殺されちゃうし今はどこかに避難させるか」 「おいエルマ、ちょっと避難しててもらえるか」 「あぁ、そうだね……ゴミみたいな私なんかいらないものね」 「そうじゃないけど、ほらいくぞ! よいしょ!」 う~ん、背後からエルマの脇に腕を通して運ぼうとしてるが、エルマが全身の力を抜いているためか重い。 少し引きずる感じで移動させるか。 よいしょ! よいしょ! 「よしっ! ここまで運べばもう大丈夫だろう」 「うぅ、レン君……。」 「エルマはここで少し休んでいてくれ、その間に俺がアイツをやっつけるからさ!」 「でも……。」 「大丈夫大丈夫、俺には無敵の魔法剣があるからさ♪」 「あ、あぁ……。」 「じゃあ行ってくる!」 「レン君!」 タッタッタッタッタ! 「さてさてこれだけ言ったんだ、絶対アイツを倒してやる!」 タッタッタッタ! 「待たせたな!」 「あぁやっと来たのか、この俺様を無視したり暴言吐いたりといい度胸だな!」 「まぁな! でもここまで待ってくれるなんてお前本当はいいやつなのか?」 「はっ! このぐらいのハンデくらいつけてやらないとフェアじゃないと思っただけだ」 「なるほどな、自信満々というわけだ! でも俺だって負ける気はしないぜ」 「ほざけ! 下等生物の貴様ごときがこの俺様に勝てるわけなかろう」 「言ってろ、こっちには素晴らしい力があるんだからな!」 「ほう? では見せてもらおうか、貴様の言う力とやらを」 「見せてやるよ! 俺の……いやまぁ正確には俺の武器の力をな!」 「来い! ディアボロス・ドラコ!」 「グルオォオオオ! いくぞ! ギエルディアデス!(破壊せよ!)」 「やはり破壊魔法か、まぁこれは避けるとしてそのあとはどうするかな」 「魔法剣ちゃん、攻撃を避けた後はどうすればいんだ?というか君の名前を教えてくれ、呼びづらい」 「私のことはフィーナとお呼びくださいマイマスター」 「わかった」 「そして次の行動ですが、まずはマスターの言う通りあの攻撃をかわしてください」 「ただし今度の破壊魔法は途中で五つに分離して飛んできますのでこの私を使って全部叩き切ってください」 「叩き切るって結構難易度高いんじゃないか?」 「たしかに、でもそれ以外避ける術がありません」 「まじか、よし! やってみよう」 「はっはっはっはっは! 今度はただの破壊魔法ではないぞ!ここで分裂させて貴様を破壊してやる!」 バンっ! 「どうだこれで避けられまい」 ヒューン! たしかに予知通り五つに分離してこちらに飛んできた。 しかもさっきと比べるとスピードも上がっているようだ。 これじゃあフィーナの言う通り叩き切るしか回避手段がないぞ! 「うぉおおおおお! 全部叩き切ってやる!」 俺は勇気を出すため大声で叫びながら破壊魔法弾を次々と叩き切っていった! そして全ての魔法弾を叩き切った後、ディアボロス・ドラコの懐に入り身体を切り裂いた! 「グルアアアアア!? な、なんだと! たかだか人間ごときにこの俺様が敗れるのか!」 「そうだ、下等生物の人間にお前は負けたんだ!」 「うぐぐ、この俺様が、この俺様がぁ!」 うわっ! 何だこいつ、行き成り全身が紫色に輝き始めたぞ! しかも段々とドラゴンの姿から小さくなっていき人間に近くなっていく?! 「うぉおおおおお!」 うっ、眩しくて目が開けられない。 まさかこのパターンは第二形態になってより強くなるパターンなのでは? それはまずい、何とか阻止しないといけないが眩しい。 「ガアアアアアア!」 あぁあああ! もうダメだぁ! 奴から放たれていた紫色の光が徐々に消えて変身が完了してしまう! 「ガァアアアア………。」 静かになった、ということはやはり変身が完了してパワーアップしてしまったのか……。 「はぁ~ はぁ~」 ああ、恐くて目を開けたくないが、見てみるか。 パチリっ!6d0bb66f-785a-44b6-b579-ad458dac8018 「ん? あれ? 女の子?」 いやいやまてまて、恐怖から目を背けるために幻覚を見ているんだきっと。 今ディアボロス・ドラコがスタイルのいい黒髪の女の子に変身したように見えたがきっと気のせいだ、もう一度見てみよう。 チラリ 「何じろじろと見てるんだ、この下等生物が!」 あぁ~ うん気のせいじゃなかった、アイツ女の子に変身しやがった。 「くっ、卑怯だぞ! 女の子に化けるなんて攻撃しづらくなったじゃないか」 「はぁ? 何言ってるんだてめぇ、変身したんじゃなくて変身が解けたんだバカがっ!」 「え? 解けた? じゃあさっきの姿が第二形態で今が弱体化した第一形態ということか」 「つまり………。」 じりじり 「お、おい、なにどんどん近づいてきてるんだよ。や、やめろ!俺様のそばに近づくな! 」 「今のお前なら軽く捕まえられるわけだよな? ディアボロスさんよぉ♪」 「あっ、あぁ! うわぁああああああ!」 グルグルグルグル! ぎゅっ、ぎゅっ! 「ふぅ~ これだけ縄でぐるぐる巻きにすれば大丈夫だろう」 「うっ、うぐぐ、なんだこの縄引き千切れないぞ」 「それはそうさ、エルマが縄に魔法をかけて作った獣捕獲用縄だからな」 「何でそんなものを持ってるんだ!」 「そりゃあこんな物騒な森に入るんだ、それ相応の捕獲アイテムは必要だろ?」 「あぁそうそう、その縄の強度は鉄線の二十倍はあるからいくらお前でも引き千切れるわけないよなぁ?」 「お、俺様に何をする気だ!?」 「う~んそうだなぁ、もう二度と俺達に襲い掛からないようにお仕置きしておくか」 「はぁ?! お、お仕置きって何を!? まさか無抵抗である俺様を好き放題弄ぶきかっ!」 じりじり 「ひやああああ! や、やめてぇ~ 俺様……私が悪かったから許してください!」 「…………。」 何だろうこのディアボロス・ドラコの反応、涙滲ませて怯えている。 いったい何をされると思っているのだろう? 俺はただ彼女の脇の下をくすぐってお仕置きしようとしてるだけだがこんな反応されると色々とまずい。 何がまずいかというと、俺の目の前にぐるぐる巻きにされて涙を流している女の子がいたらまるで俺は変質者じゃないか。 こんなとこエルマにでも見られたら―― 「レ、レン君? 何してるの?」 はい終わったぁ! 盛大なフラグ回収したぜ畜生! 「ち、違うんだエルマ、俺はけっして変態ではないぞ!」 「何で女の子を縛り付けてるの? まさかレン君にそんな趣味が?」 「違ぁああああう! 断じて違う! こいつはさっき俺たちを襲ってきたディアボロス・ドラコなんだ!」 「ディアボロス・ドラコ? 本当にそうなの?」 「あぁ、こうして縛っておかないと危険だからな」 「じゃあ何で紅い目潤ませて涙を流しているの?」 「そ、それは俺にも分からないが、ただお仕置きをすると言っただけなんだ」 「うん分かった、レン君のその発言のせいだ」 「何で?」 「お仕置きという言葉は彼女からするとぐるぐる巻きに縛り付けられた挙句いやらしい事をされると思っているからだと思うよ」 「いやいやいや! 俺はくすぐり攻撃をしようとしただけでそんな事は微塵もする気なんてないよ!」 「どうだかぁ~ 私と違って彼女はスタイルがいいからなぁ、怪しいなぁ」 「いや絶対にそんなことしないよ! 何ならくすぐり攻撃だってやらないよ!」 「ディアボロス・ドラコ……いやもう呼び方はディアボロスでいいか、もう俺たちを襲わないと約束できるか?」 「ひっぐ、ひっぐ、約束しますぅ~」 「分かった、じゃあ縄をほどくよ」 ガサガサガサ 「よし! 縄をほどき終わったぞ」 「うぅ~ ぐすん、私をここまでコケにしてぇ覚えてろよぉ」 「絶対に反省してないと思っていたけど、反省してないことを隠す気が無いとは」 「分かっているとは思うけど、また襲ってきたら今度こそ酷い目にあわせてやるからな」 「うぅ、分かっている、だがこのままじゃ何だかしゃくだ!」 「そうだ! お前たちに付きまとってやる! 嫌だといっても付きまとってやる!」 「あぁいいぞ、歓迎しよう」 「あれぇ? 普通ここは嫌がるものじゃない? 寝首をかかれるかもとか考えないのか?」 「いやその時は偉大なる魔女様とお前を倒したこの俺の力でねじ伏せれば問題ない」 「あぁ~そうかい」 畜生! 力の差を見せつけられているから反論できない。 「それに、君を向かい入れるのには理由がある」 「理由だと?」 「あぁ、実は今俺達より強い魔女が襲ってくるかもしれなくて出来るだけ戦力を増やしたいとこなんだ」 「ふ~ん、それで私に力を貸せと?」 「その通り! 君の力はすごいからな、味方になってくれるとありがたい」 「なるほどな、でもお断りだ! 私はお前ら下等生物の言う事なんか聞きたくない!」 「そうかぁ、残念だなぁ~ でも仕方がないか、上級生物様でもきっと俺達より強い魔女は怖いんだなぁ~」 「怖いだって? そんな訳ないだろう!」 「じゃあ一緒に戦ってくれるよね♪ 怖くないならさぁ」 「うぐぐぐ……分かった………だが勘違いするなよ、別にお前に従ったわけじゃないからな!」 「はいはい分かった分かった、それじゃあよろしくな」 「ふんっ!」 ふぅ、何とか仲間に引き込むことが出来てよかったよかった。 でも今回はエルマに許可を得ずに勝手にやったことだからなぁ、やっぱり後で怒られるかなぁ。 でももうやっちまったし怒られたら怒られただ。 さてと、エルマの家にいったん帰るか。
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