★白魔女様の修行相手は自分自身★

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★白魔女様の修行相手は自分自身★

ピチョンピチョンという音だけが響く静かな鍾乳洞、そこに私達は来ていた。 ではなぜ来たか、それは自分の力の把握と強化をするためだ。 私の魔法剣……五月雨レイの意思を持ったもう一人の私が力をつけるなら自分自身の力を見直したほうがいいということでここに来たのだ。 でもここで何をするのかまでは聞いてないからちょっと質問してみることにした。 「あのぉ、ここで何をするつもりなんですか?」 「え? 何するか分からずに来てたの?」 「はい……。」 「やれやれ、じゃあ説明するからよく聞きなさい」 「はい」 「今から貴女には貴女自身と戦ってもらうわ」 「戦う? 何で戦うんですか?」 「自分自身の力を見直したほうがいいと言ったでしょ?」 「はうぅ、ごめんなさい………。」 「はぁ、怒ってないわよ……それより話を続けるわよ」 「要するに自分自身と戦うことで自分の弱点を見つけようということよ」 「弱点ですか?」 「そう、弱点よ! はっきり言って今の貴女が記憶を取り戻して五月雨レイに戻ったとしてもまたエルマとレンに敗北するわよ」 「わかりました! 私も記憶は取り戻したいし負けっぱなしなんて嫌だから強くなるため頑張ります!」 「そのいきよ水無月レイ! 強くなって記憶を奪った奴らを倒すのよ!」 「はい! ではもう始められるなら始めてください!」 「了解したわ、では貴女の目の前に貴方自身のクローンを作るわよ」 「セバイルド・オブ・ザ・タイム!(過去の時よ、分離して具現化せよ!)」 もう一人の私が呪文を唱えると、周りが行き成り白くなりその後にゴーンと大時計からなりそうなくらいの大きな音が聞こえてきた。 そしてそれがまるで合図だったかのように私の目の前に大人の姿の女性が現れた。 その女性は白髪で髪が長く、私の顔に少し似ているようにも見えた。 きっとこれが私が大人になった時の姿なのだろうと思いつつ戦う準備をした。 「いい水無月レイ、目の前にいるのはエルマ達にやられた時の五月雨レイよ」 「わかってます、この人と戦って弱点を見つけてみます!」 「ふふ、そうね…せいぜい頑張りなさい」 「はい!」 私には五月雨レイの時の記憶がないからどんな攻撃を 彼女がしてくるのかは分からないけどそれでもやるしかない! 「勝負です、未来の私!」 「…………。」 だんまりだ、未来の私って喋らないのかな~ 私の言葉が無視されてしまいました。 でも見たところ相手は油断をしているのかずっとぼぉとしているようですし今が攻撃チャンスです! 「たぁあああああああ!」 ぼぉとしている隙に未来の私の首を切り落とせば私の勝ちです! ブンッ! 「はぁ……子供が考えることは所詮こんなものか」 「な、なんですか?! さっきまでなかった殺気を感じる」 「エンド・オブ・ザ・タイム(時間よ止まれ)」 ゴーン! 「なっ! 消えた!? いったいどこに?!」 ゴスッ! 「がはっ! い、痛い…まるでお腹を殴られたような痛みが急に……。」 いや、痛みだけじゃない! 明らかに拳で殴られたような手の感触をお腹に感じた。 分からない、ただこの不思議な攻撃は未来の私が『エンド・オブ・ザ・タイム』と言った時から始まった、だとすればその言葉の意味を解かないと確実に負けちゃいます! 何とかして解かないと。 「げほっ、げほっ、まだまだですよ! 今度は私の番です!」 「……………。」 「ザルメディス!(斬撃の旋風を!)」 ザシュっ! バシュ! やった♪ 彼女の右手と両足を少し深めに切り裂けた、これで素早い動きはもうできないはず。 「さぁ、これでもう貴女はもう動けません! 大人しくやられてください!」 「…………。」 敵はもう動けない、これでとどめをさせば終わり! そう思った。 だがとどめをさす瞬間、彼女は不敵な笑みを浮かべてまた別の呪文を唱えた。 「ふふふ、だから貴女の考えは子供なのよ」 「…………!?」 「リターン・オブ・ザ・タイム!(時よ元に戻せ!)」 「なっ! 切り裂いたはずの傷口が全部塞がった!?」 「そして、時間を操れない己の弱さを恨みなさい! エンド・オブ・ザ・タイム!(時間よ止まれ!)」 ゴーン 「ごふぅっ!? また強烈な痛みが……い、意識が………。」 「……………。」 「あ~あ、やられてしまったようね。」 「でもしょうがないか、私とこのクローンレイは五月雨レイの時の記憶があるから時間を操れるけど、水無月レイはその記憶がないから時間を操れないものね」 「失敗したわね、これじゃあ弱点を見つけるどころか勝負にもならなかったわ」 「次はもっと水無月レイの力量のことを考えたトレーニングにしないと」 「でもまずは一時の休息をとりますか、私剣だから水無月レイが起きるまで何もできないし」 「あぁそういえばクローンを消しておかないとね」 「てっ、やはり五月雨レイのクローンか……いつの間にかいなくなっている」 「まぁそれならそれでいいわ、その方が私も楽だし」 「さてと、もう眠くなってきたし…ね……むり……ま………すぅ~ すぅ~」  私と私の魔法剣(五月雨レイの記憶を持った剣)が眠り?におちてから二時間ほどたった時、どこからかやってきた少し大きめのカエルが頭に乗っかってきたことで私は目を覚ました。 「ふにゅう~ 何だか頭が重いような気が……。」 ゲコッ 「ふえ!? 何で頭にカエルさんが?!」 ゲコゲコ! 「あわわわわ、お、降りてください!」 ゲコ…ゲコ………。 「ふぅ~ 何とかカエルさんを追い払うことが出来ました、これで一安心です」 「それにしても何で私眠ってたんでしょう」 「う~ん」 「あら? 目を覚ましたのね水無月レイ」 「はわっ! びっくりした、魔法剣さんおはようございます」 「魔法剣さんって私のことは五月雨レイと呼んでちょうだい、私だって貴女のことを水無月レイって呼んであげてるんだから」 「分かりました、でもフルネームで呼ばなくてもいいんじゃないですか?」 「ん~ まぁそうね、ではお互い苗字で呼び合いましょう」 「はい、分かりました五月雨さん」 「うん、では水無月さっき貴女が眠っていた理由を簡単に教えるわね」 「お願いします」 「貴女は私が創り出したレイにこてんぱんにやられちゃったの」 「こてんぱん………。」 あぁ~ 何となく思い出してきた、私は未来の姿をした私にお腹を殴られたんだ。 いててて、思い出したらお腹が痛くなってきた。 「無理をしないほうがいいわよ、五月雨レイの本気のパンチは骨折させるほど、今貴女のあばら骨の一部は骨折しているから下手に動くと余計に悪化するわよ」 「骨折!? でもそこまでの痛みは感じ………いたっ!」 「ほら、だから言ったでしょ? 骨折してるって」 「何で? 殴られたのはお腹だけなのに!」 「お腹だけじゃないわよ」 「え?」 「貴女が気絶している間に、あばらにもう一発攻撃してたわよ」 「ひ、ひどい! 気を失って戦えなくなった相手に更に追い討ちをかけるなんて!」 「酷くないわよ、貴女だって動けないクローンを攻撃しようとしてたじゃない」 「気絶して動けなくなった相手を攻撃することまではしないよ!」 「はぁ、あまいわね……だからあんな死にかたをするはめになるのよ」 「ほえ? あんな死にかたって何? 私死んじゃうの?」 「あぁ~ 何でもないわよ、とにかくそのあまさを戦いの中では捨てなさい!」 「はい……それで死にかたって何のこと?」 「………ちっ! 何でもないって言ってるのよ!」 「はわぁあ! ご、ごめんなさい! もう聞きませんから怒らないでぇ!」 うぅ、何で私自分の魔法剣にこんなにペコペコしているんだろう。私のほうが立場的に上のはずなのに……。 「もういいわ、よく考えたらさっきのクローンだって貴女を元に創ってるのだからいずれはああなるって事だから何の問題もなかったわね」 「私にとっては何であんな性格になってしまったのかが問題だけど」 「でも本当に何であんな非道な性格になっちゃったんだろう?」 「それは貴女が歩んできた運命がそうさせたのよ」 「運命? また気になること言って……どうせ教えてくれないなら言わないでよ」 「あら? 少し偉そうなものいいになったじゃない、お子様が生意気よ」 「ふみゅう~」 ズキンッ! 「いたたたたぁ……そう言えば骨折してるんだっけ」 「五月雨さん、何か回復呪文はないの?」 「あることにはあるけど貴女が期待しているような優しい呪文じゃないわ」 「優しい? 回復呪文に優しいも何もないのでは?」 「あまいわね、世の中にはえげつない魔法があるってことを知りなさい」 「はう、じゃあ貴女が使える回復系魔法はどんなのなの?」 「精神的にまいる魔法よ」 「……………?」 「そんなあからさまに何言ってんのこいつみたいな顔はやめなさい!」 「…………………?」 「………簡単に説明するとこの魔法は身体を攻撃される前の状態まで時間を戻す魔法なの」 「でもその過程の中で攻撃されたときの痛みも逆再生する感じで再現されるから骨を折られたときやお腹にパンチされた時の痛みをもう一度受けることになる、そういう効果の魔法よ」 「そうなんだぁ、それは確かにえげつない魔法ですね」 「まぁどんなものでもデメリットがあるってことね、で、どうする?魔法をかける?かけない?」 「痛いのは嫌だけどしかたがないです、お願いします」 「わかったわ、リターン・オブ・ザ・タイム!(時間よ元に戻せ!)」 バキッ! 「痛いっ!」 ゴスッ! 「かはっ! うぅ……気持ち悪い………。」 「うぅ……時を戻すことで身体は回復するけどたしかに精神的にはきつい」 「でも耐えたよぉ~」 「お疲れ様、精神と肉体が子供に戻ったのによく耐えられたわね」 「えへへ♪ そうでしょ♪」 「ほんと、この調子なら手を切り落とされても泣かなかった五月雨レイの時の精神力を取り戻せそうね」 「うん、頑張る……へ? 切り落とされた? 今手を切り落とされてもって言った?」 「えぇ、言ったわよ」 「あははは、嫌な例えは良くないですよ、手を切り落とされてもなんて」 「例えじゃないわよ、貴女は五月雨レイの姿で活動していたときに魔法で手を切り落とされているのよ」 「そうなんだ……可哀想な私のお手々」 「でももしその話が本当なら私は何で手を切り落とされたの?」 「それを知りたいのなら私と一つになって自分で思い出しなさい!」 「もっとも例の呪文は誰かにかけてもらわないといけないから今より強くなって力ずくで魔法をかけてもらうしかないけどね」 「今より強く……ですか、でもどうすればいいのかな、自分にすら勝てないのにこれ以上どうやって強くなれば………。」 「そうね、次はやり方を変えて修行してみましょうか」 「修行ね……そんな事しても私強くなれるかなぁ」 「はぁ、貴女は本当に気分屋な性格をしているのね、 さっきまで自信に溢れてたのに何で気を落としているのよ」 「だってぇ、急に不安になってきちゃったんだもん」 「大丈夫よ、少なくとも貴女をこてんぱんにしたのは未来の貴女……。つまり最低でもあそこまでは強くなれるということだから」 「うん………。」 「まだ不安? 自信を持ちなさい! 貴女は時の魔女五月雨レイそのものなのよ?絶対に強くなれるしならなくてはならない!」 「………………。」 「さぁ、旅立つ準備をしなさい! 強くなるために次の場所に出発するわよ!」 「わかりました」 五月雨さん、口調は厳しいけど私を勇気づけてくれてるのかな?意外と優しいのかも。 「ところで準備って何を準備すればいいんですか? 私何も持ってないですよ?」 「………心の準備ってことよ、おバカ!」 「ひどいっ!?」 やっぱり厳しいです、でも私の為だと思って乗り越えます、ぐすん。 つづく
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