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★魔女様と子孫の出会い★
レン君と別れてから数十年の月日が流れた。
だが未だにレン君のことは忘れられない。
未練たらしいとは思うが、それでも忘れられないものは忘れられない!
私はレン君が大好きだったから!
でも、結局レン君には伝えられなかったなぁ。
レン君は今頃何をしているんだろう?
というか生きているのかさえ怪しいなぁ。
数十年経っているということはレン君は今七・八十歳くらいかぁ。
てことはレン君は今お爺さんになっているということか。
はぁ~ 人間の寿命は何でそんなに短いんだぁ~
もう一度レン君に会いたかったなぁ。
「はぁ~ さてと、魔道の研究でもしますか」
私は魔法の研究をするために魔導書を机に置いて椅子に座ろうとした。
だがその瞬間に突然外からとてつもなく大きな音が聞こえた!
ドゴンッ!
「うわぁ! な、なんだ? すごい音が外から聞こえたぞ!」
ものすごい音の正体が気になったので外に向かってみることにした。
そして音の正体は何かが落下したものだということが分かった。
「クレーターになってる、何が落ちてきたんだろう?」
クレーターの正体が気になったので、その中心部にある物を見てみた。
だがそこに落ちていたのは物ではなく人が立っていた。
しかも顔立ちがレン君にそっくりだった!
私は思わずレン君と呼びそうになったが、その言葉を抑えて代わりに質問してみた。
「お~い、大丈夫か~い。君は誰だい?」
「うぅ…なんだぁ? お前誰だ?」
「質問を質問で返すな! それぐらい常識だろ?」
「……わかった。俺はカズヤ、森を歩いていたら急に周りが暗くなって気づいたらここにいたんだ」
「ふ~ん、そうかい」
何だか境遇がレン君に似ている。こんな偶然ってあるんだね。
「じゃあ次の質問――」
「おぉと待った、俺の質問に答えろよ! お前は誰だ?」
「私は大魔導士エルマだ!」
「………何言ってんだお前、そういう中二病発言は控えたほうがいいぞ」
「中二病じゃないわ! 本物の大魔導師だ!」
懐かしい……この会話の流れもレン君の時と同じだ。
「本当かぁ~? ならば証明として魔法を唱えてみろよ?」
「いいよ、見せてあげるよ」
魔法を唱えて証明してみろ……か、面白いっ!
ならば初めてレン君と出会ったときに唱えたこの魔法で!
「インフェルノバスター!(破壊の業火!)」
私の放った魔法はカズヤの横を通り抜け、そして後ろにある大木を消し飛ばした!
「………まじかよ」
「フフン♪ どうだぁ♪ 私の魔法は♪」
「…………どうやら信じるしかないなぁ」
「フフフ、これで私が大魔導士であることは証明できたし、今度は私の質問の番だ」
「はぁ、わかったよ、何を聞きたいんだ?」
「君の身内にレンという名前の人はいるかい?」
「レン? あぁ、それなら俺の爺さんがそんな名前だったなぁ」
「まぁ爺さんと言っても一度も会ったことがないがな」
「えっ? それってレン君はもう死んでるの?」
「いや、生きているらしいが会ったことがないだけだ」
「そうか……。」
レン君、生きてたんだね……よかったぁ。
「なぁ、今度は俺から質問をさせてもらうがいいか?」
「どうぞ」
「お前は俺の爺さんのことを何で知っているんだ?」
「お前って……レン君より少し性格がきついのかな?」
「なんか言ったか?」
「べつにぃ。それより質問の回答だが、ここで話すのもなんだから私の家の中で話そう」
「家って、この汚いボロ小屋か?」
「張り倒すぞ! これは私の立派な家だ!」
まったく、レン君と言いこいつと言い、私の家をボロ小屋扱いして!
でもまぁいいや、私は寛大だから許してあげる。
「これが家か……あまり入りたくねぇな」
「いいから入れ! 話をしてあげるから!」
少ししぶる彼を半ば無理やり家に入れ、その後私はレン君との出会いの話をした。
話をした後の彼の反応はどうだったかはこの場では語らないでおこう。
彼との今後のお話は次の機会にするからね。
まぁその時を楽しみに待っててくれ。
それじゃあね………。
魔女と歩む魔法の世界 完
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