★魔剣を持ち現れるヒーロー登場?★

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★魔剣を持ち現れるヒーロー登場?★

エルマがレイちゃんを探しに行ってから 一時間以上は経過しているがまだ戻ってこない。 エルマは強いから大丈夫! と思いたいところだが、流石にこうも遅いと不安になってくる。 「エルマのやつ大丈夫かな~ というか忘れてたけど今のエルマって性格が大人しくなってるよな?」 「あぁああああ! 俺のバカぁ! 何であの状態のエルマを一人で行かせてしまったんだ!」 「あぁ……。こうなったらエルマを探しに行こう!エルマには家で待っているように言われてたが、もう心配すぎて待てないからな!」 「そうと決まれば早速エルマ達捜索の準備をするか」 「まずは武器だ、こんな森のなかで丸腰なのは危険だからな」 「武器はこの辺にある……この黒色の剣でいいか」 「………何でエルマの家にこんなのがあるのかは不明だが…何だろう、この剣……。」 「全体的に黒く、柄の部分の中央に大きな紫色の宝玉が埋め込まれている」 「この装飾のせいか、けっこう心が引かれる剣だ」 「ぶっちゃけこの剣もらえないかな~ エルマ見つけたら聞いてみよ」 「次はこれ、回復薬! エルマが自信満々に自慢してた薬だから回復効果は抜群だろ」 「そしてこれもまたエルマが自慢してたアイテム、人探しの宝玉!」 「何でエルマのやつこれを置いて人探しに行ったんだろうか……あぁそうか、人格が変わっていてこのアイテムの存在を忘れてしまっていたのか」 「でもまぁそのおかげで俺が使えるんだけどな」 「よしっ! これで準備は万端だ! では行くか!」 チュウ! 「ん? レイとプチじゃないか、お前たちは留守番をしていてくれ、流石に連れて行くのは危険だからな」 チュウ~ 「大丈夫だ! レイちゃんとエルマは必ず連れて戻るから!安心して待っていてくれ!」 チュウ! 「よしっ! 良い子だ! それじゃあ言って来るぜ!」 俺はハムスター達に見送られながら家の外に出て森に入っていった! 「さてと、ではこの人探しの宝玉を使いますか! このアイテムは思い浮かべた人物を探すことが出来るというがどんな感じになるんだろう」 「まずはそうだな~ 手始めにエルマから探すか!」 「エルマのことを思い浮かべて……。」 じぃ~ 「んおっ!? 何か宝玉の中に映り始めたぞ!」 「これは…矢印か? どこかを指示しているようだがもしかしてエルマのいる方角をさしているとかかな?」 「とりあえずこの方角に進んでみるか!」 ザクザクザク! それにしてもこの森は夜だと周りがよく見えないな~ おかげでさっきから肘を木に少しぶつけたり、小枝に引っかかって 躓きそうになったりで大変だ! でもしょうがない、あんまりちんたらと探せないし明かりを発するアイテムを忘れた自分が悪いのだ。 それに、今のエルマの性格上道に迷って泣いているかもしれないしな、早いとこ探さないと。 「エルマ~ どこに行った~」 返事がない、ここら辺にはいないようだ。 宝玉を見ても矢印まだ出てるし。 いったいエルマは何処までレイちゃんを探しに行ったんだ? カサカサカサ 「これだけ走ってもまだ見つからないとは……。」 「まさかもう既に魔物に喰われちまったなんてことはないよな?」 「いかん、また悪い方向の想像をしてしまった!」 「こんな事考えちゃいけないというのは分かっているが、どうしても想像してしまう」 「…………いや、希望を持て! レン! エルマは必ず生きている!だから探すんだ!」 うぉおおおおおおおおおおお! 走れ! 俺!諦めるな! 血反吐吐いても探すんだ! 五分、十分、三十分!一時間と俺は探し続けた! 色んな所を見たりもしたし、なんなら大きな石の下まで探してみた! だが見つからず正直諦めかけてきた。 「う~ん、もしかしたら家に帰ったのかな~ 戻ってみるか~」 俺は最低だ、今諦めかけているのだから。 ハムスター達に偉そうなことを言ったくせに結局はただの嘘つきになってしまったな。 はぁ~ さてと、帰るか………。 ガインっ! ん? 何だ? 今近くから武器と武器がぶつかるような音が、ちょっと音がした方向に行って見てみるか。 コソコソコソ、じぃ~ 「なっ!? これはっ! エルマだ! エルマがあの白髪女と戦っている!」 「それともう一人、エルマと一緒になって戦っている。誰だろう?エルマに少し似ているような……。」 「てぇっ! そんなこと言ってる場合じゃなかった、早くエルマを助けないと!」 もっとも足手まといになるかもしれないがな。 でも目の前で女の子が戦っているのに一緒に戦わないというのは男が廃るというもんだ! よしっ!行くぞぉ! 「エルマぁ! 助けに来たぞ!」 「うえっ! レ、レン君! どうしてここに!? というか離れてないと危ないぞっ!」 「危険は承知だ! 女の子を見捨てて逃げるなんて俺にはできないからな!悪いが勝手に共に戦わせてもらう!」 「もうっ! 勝手なんだから! 死んでも後悔するなよ!」 「おうっ! というかエルマ、性格が元に戻ったんだな! 嬉しいぜ!」 「今ここで言うこと?! でもまぁいい、気合いを込めろ! レン君!」 「了解っ!」 とは言ったもののどうするかな。ぶっちゃけ数時間前にこの女に負けてるからな~ 正直勝てるかどうか自信はまるでなし! どうしたものか。 「ふふふ、とんだ助っ人が来たわね……勇敢じゃないの」 「うるさいっ! 今度こそお前に負けないからな!」 「レン君! アイツは時間を操れる! 加速、時間停止、巻き戻し、何でもありのチート能力だ!」 「チートすぎだろ! まぁでもやるしかないっ!」 「はぁ……このお喋りエルフは本当に………これでレンも殺さなくちゃならなくなったじゃない」 「なっ! レン君は殺させないぞ!」 「駄目よ、私の時間停止の能力を知った以上殺さないと」 「知っただけで殺されるのはごめんだな……と言うか殺すなら何で前に会ったときにその能力の事を教えてくれたんだ? あの時は俺を殺さなかったけど」 「…………………っ!?」 「おいレイ! お前時間停止の能力を知ったから私を殺すと言っていたが、どういうことだ? そんな絶対的な秘密を何でレン君に喋ってんだ?」 「そこのとこ、はっきりと聞かせてもらおうじゃあないか!」 「し、知らない……私は知らない…………。」 「また嘘をつくんじゃねぇ! 冷や汗流しながらそっぷ向きやがって!」 「うるさいっ! お前らを殺せばもうなんの問題もないわ!」 くぅ~ 私としたことが、あの時ついうっかりと喋っていたなんてぇ……興奮してて気づかなかったわ。 「と言うかレン君、知ってたなら教えてくれればよかったのにぃ……。」 「いやだってあの時はエルマを慰めようとしてて」 「………っ!」 そうだった、性格が反転していた私はあの時臆病な性格になっていて、そんな私を慰めるためにレン君が私をは、はぐして………! 「わかったレン君、それより戦いに集中しよう!」 「ん? 何で顔が赤くなっているのかが分からないが、まぁ分かってくれたならいいや」 「よし、今度こそいくぞっ!」 「いいわ来なさい! 勇敢で愚かな少年よ! 私の動きを追ってみなさい!」 ブンっ! うわっ! 女が消えた! ど、どこに行った!分からない……どうするか………。 「レン君、そいつは今自分の時間を加速させレン君の時間を遅くしているんだ!」 「だからそいつの姿が消えたように見えるんだ!」 「なんだよそれ! つくづくチート能力じゃねぇか!」 ちくしょう……見えないんじゃあ攻撃しようがないじゃないか。 「ほら、そんなにぼぉとしていていいのかしら? まずは一撃、いくわよ!」 のわぁあああああ! またあの腹パン攻撃か! いや、アイツは殺すと言っていた、俺を殺すと! 腹パンなんて生易しい攻撃はしてこないっ! 「クソっ! とにかく適当にこの剣を振り回して!」 俺はもう考えても無駄と思い剣を適当に降ろうとした、だがその時不思議なことがおきた! 突然剣から女の子の声が聞こえてきた! 「私をおもいっきり左後ろに向かって振り上げてください、その方向から彼女の斬撃攻撃が来ます!」 「えっ!? なに? 剣から声が?」 「驚いてないで早く私を振り上げてガードしてください! マイマスター!」 「はいぃいいいい、了解です!」 透き通るような声色で指示された俺はその声の言うとおり剣を左後ろに向かって振り上げた! すると、上がりきる前にガキンッ! という音と共に火花が散り、白髪女の剣を弾いた。 「なにっ! 私の攻撃を! いいや、ただのまぐれよ!次はないわ!」 ブンっ! 「また消えた! 次はどこからくるんだ?」 「マイマスター! 今度は私を横にして前につき出すようにガードしてください!」 「はい!」 ガンッ! 「くっ! ガードされた……いったいどうやって?」 「…………。」 すげぇ! この剣マジすげぇ! 意思を持っていて尚且つどこから攻撃が来るのか探知できるなんて!よしっ! これなら勝てる! 「ガードできた理由? フッ、それはお前が俺より弱いからだ、それ以外理由はないっ!」 今俺、かっこよくきまったな♪ 「かっこつけてないで戦闘に集中してください!」 怒られた………。今のでかっこわるくなった、ちくしょう! でもよくよく考えたらこの剣の声は周りの人にも聞こえてんだから俺の力ではないことは分かっているか。 さてと、バカなことをやってないで剣の言うとおり戦いに集中しますか。 キラキラキラ♪ ん? なんだ、エルマが目を輝かせて俺を見ている。 「レン君………。」 「ん? な、なんだエルマ、そんなに輝いた目をしながら近づいてきて」 「そりゃあ輝くに決まってるだろ♪ いつの間にそんなに成長したんだ!あいつの剣を受け止められるなんて、正直驚いたぞ!」 あれぇ? なんだこのエルマの反応、俺はてっきりエルマに『剣のおかげでガード出来たんだろ!』って言われると思っていたがどういうことだ? あれだけ大きな声で剣は喋っていたのに気づかなかったのか? 「マイマスター、私の声はマスターにしか聞こえません」 「そうなの?! どうりで周りが何言ってんだこいつと言うような顔をしてないわけだ…………いや、やっぱり一人いた」 「ふざけないでよっ! 私が貴方より弱いですって!?認めないっ! そんなの認めるわけにはいかないのよ!」 すっげぇ睨んでるマジ怖い! だがここで怖がっている訳にはいかない。 「なぁ剣、名前分からないからこんな呼び方だけど次はどうすればいんだ?」 「そうですねぇ……。次は彼女に向かって走りながら私を横にして右斜めの方向に突き出してください。突き出すタイミングはマスターと彼女の距離がニメートルくらいになった時です!」 「わかった! やってみるよ!」 「いくぞっ! 白髪女!」 「私は強い…私は強い! こんな子供に負けるはずがない!」 そう、私がこんな子供に負けるわけがない! 子供だと思って油断していたわ。 もう時間加速と低速何てあまいことはしない! タッタッタッタ! レンがニメートルまで近づいて来た! ここで時間を停止させる! 「時間よ止まれ!」 時間は止まりレンの動きも停止した。この隙にレンの右斜めからこの剣でぶった斬ってやるっ! それでこの勝負は私の勝ち、あとはエルマ達を始末すればいい! 「レン、これで貴方は終わり……その体を真っ二つにしてあげる」 「死になさいレン! 時間停止解除!」 ガンっ! 「何でよ! 何で私の攻撃を防げるの!? 時間を止めたのに何で攻撃される方向を把握出来るのよ! イラつくわね!」 「マイマスター 攻撃するなら今がチャンスです! 彼女は今攻撃を防がれ続けてそうとう苛立っているようです、ならばそこに隙が生じます」 「でも怒っていると言うことは攻撃の威力も怒りで上がるんじゃないのか?」 「たしかにそうです、でも怒ることで冷静な判断力も鈍ります」 「成る程、つまり判断力が鈍っている今なら隙があると」 「そうです、なので今私は足を攻撃することを推奨します!」 「わかった」 「待たせたな白髪、反撃の時間だぜ!」 「はっ! 何を言って!」 「くらえっ!」 俺はそう言い斬りつけに来ている剣を押し退けてから女の右足を斬りつけた! 「痛っ! あ、足がぁ」 やった! これでこいつはもう思うように動けまい。 しかも深く斬りつけることが出来たのか足から大量の血が吹き出している。 「あ…うぅ………くぅ」 「どうやら予想以上のダメージを与えられたようだな!」 「くっ! 皮膚の時間よ戻れ!」 えっ? あいつの足から出ている血が止まった? 「よし、傷は塞いだ……さてと、一切の慈悲なく殺してあげるわ」 あれぇえええええ!? あいつ傷を塞げるのか?! 何だよ! はしゃいでた俺がバカみたいじゃん! 「流石に再生されるとは思いませんでした、申し訳ないですマイマスター」 「いや、まさか俺も傷を塞がれるとは思わなかったからお互い様だ」 「それよりどうすれば勝てる?」 「勝てる方法があるとすれば再生する前にダメージを与え続けるか、魔力がきれるまで再生をさせ続けて再生できないとこまで追い込むかですね」 「どちらも体力をつかうなぁ、でもそれしかないかぁ」 「マイマスター 彼女が攻撃してきます!」 「わかった、続けてサポートよろしくな!」 「了解!」 俺は剣を強く握りどんな攻撃が来てもいいように身構えた。 「おい貧弱女さっさとかかってこいよ! またお前の弱っちぃ攻撃を防いでやるからよ♪」 こう言えばこいつは怒り狂い余計に判断力を失うはず、そうすれば隙が生じ攻撃ができる。 「お望み通りすぐに攻撃して殺してあげる!」 よしっ! 挑発に乗ってきた。これでチャンスがまた生まれる! 「覚悟しなさい、その顔を恐怖の顔に変えてあげる!」 ふんっ、そんな脅しは俺にはもう効かない。なんたってこんなすごい武器を持っている俺は怖いもの無しだからな! 「時間よそいつの時を過去まで戻せ!」 ゴーン! 何だ? 今ゴーンって音がしたような………!? 何だよこれ!? 俺の持っていた剣が大きくなりそして重くなった! それどころか周りの色んなものが大きくなっている! 「レン君! 大丈夫かい?!」 うわぁエルマまででっかくなってる! どういうことだ? はっ! よく見たら俺の服までデカく………いや違う、周りがデカくなったんじゃない。 俺自身の体が幼少のころまで巻き戻されたんだ! 「やばいっ! これじゃあ思うように動けないしあいつの素早い攻撃を防いだりかわすこともできない! 俺大ピンチだぁ!」 「あはははははぁ! どうよ? 無力な体に戻された気分は?これで貴方は私より貧弱になったわね♪」 「まじかよ、油断してたぜ……。」 「さっきはよくもバカにしてくれたわね、じっくりなぶってから殺してあげる」 「マズイ、重くて剣が持てない!」 「レン君今助けに行くよ!」 「エルマっ! お母さんも一緒に行くから一人で突っ走らないで!」 「ちっ、お邪魔親子が来るわね、でもその前に貴方を攻撃してやる!」 「まずは一発両足から攻撃する!」 ザシュ! 「ぐあぁああああ! や、やられたぁ! すげぇ痛い!」 「続いて両腕を攻撃する!」 バシュ! 「うあぁああああ! すごく痛いっ!」 「もうこれで動けないわね」 「くぅ………。」 「おまけにあの親子たちの時間を走り出す前に遅くしたから助けも期待できない」 「…………。」 「もう貴方は助からない、絶望的ねぇ」 「………………。」 「でもまぁ、ずっとその絶望を味あわせるのも可哀想だからもうさっくりと首を刎ねて即死させてあげる」 「………。」 あぁ、ついに首を刎ねられて殺されてしまうのか。 悔しいなぁ、勝てると思ったのに最後は敗北してしまうなんて。 でもまぁやれるだけやったんだ、何もできないで死ぬわけじゃないのだからまだよかったのかもな。 「何か言い残すことはあるかしら?」 こいつお決まりのフレーズを言ってきやがった、だが最後の言葉を言わせてくれるというのなら言わせてもらおう。 「エルマ、出会ってから短い期間だったけど色々とありがとうな!そしてさようなら……。」 「レン君! まだ諦めないで!」 「もう遅い! これで終わりよ!」 女の剣が俺の首に向かって振り下ろされる、この一振りで俺の首は刎ねられる。 「レンくぅううん!」
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