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やがて訪れる
万が一を考え、このメモを書く。
見つけた人間は好きにすればいい。
二週間前、雪が降り始めた。
窓から見える庭は、あっという間に雪で覆い尽くされた。
何も植えていない庭だから、向こうの林まで、真っ白である。
天気予報によれば、雪が降りやめば、すぐに気温が上がり、雪は溶けるらしい。
俺は車椅子に座ったまま、庭をぼんやりと眺めて過ごしていた。
一月前に事故で両足を骨折した。
入院を勧められたが、俺は自宅を空けたくなかった。
だから、今、俺は山の中の一軒家に一人でいるのだ。
俺はそこそこ金を持っていて、理由があって、ここで暮らしている。
だが、世間と切れているわけではない。ほぼ毎日、町に行くし、友人もいる。
雪が降る前には、毎日ヘルパーが来て、俺の世話をしてくれた。
今日、ヘルパーとは電話で話したが、山道が雪で通れなくなっているそうだ。
俺は庭を見ながら、不安に駆られる。
物資は問題ない。燃料もある。こういう事もあろうかと、家はバリアフリーだ。
だが――
数日前の事だ。
寝る前に、庭を眺めようとカーテンを開け、妙な物を見つけた。
雪の塊がある。
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