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風呂にゆっくり浸かり、しっかり温まり、スウェット上下を着こんだ。丁度洗濯が終わったから、ワイシャツ二枚とパンツと靴下二足とTシャツをチャチャッと部屋の中に干す。それから押し入れを開けた。
「お、あった。あった」
取り出したのは寝袋。大学時代、山岳部に所属していた時からの品だ。まさか家の中で使うことになるとは思ってなかった。
いくら華奢でお肌がツルツルでも男は男だし、一緒にベッドで寝る気には到底なれない。かと言って、真冬に床で眠らせるのは可哀想だし。だから俺が、寝袋で寝れば問題ないよね。
ファンヒーターを消して、エアコンのおはようタイマーをセットしておく。そうすりゃ朝方に寒くて目が覚めるなんてこともないだろう。
六時……五時半にしとこうか。温度はうーん……十七? 十六でいっかな。よし。おはようタイマーもオッケー。
それから春や秋に使う薄い布団も、夏に使うタオルケットも取り出し、絨毯の上に折りたたんで敷く、その上に寝袋を置いて足だけ入れると、天井から垂れ下がっている紐を引っ張って部屋の電気を消した。
ベッドの上の盛り上がってる布団を見る。明日の朝になったら「申し訳ありません。本当に申し訳ありません!」と、頭を何度も下げるサラリーマン君の光景が浮かんでちょっと笑えた。
「おやすみー」
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