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目が覚めたら、諒ちゃんは俺の隣から居なくなってた。
隣からだけじゃない。アパートからも居なくなっていた。
時計を見ると……昼もとっくに過ぎて二時になろうとしている。
枕元には一枚の紙切れ。
『お世話になりました』
玄関を開けて外を見て、窓からも外を見たけど、諒ちゃんの姿は無かった。
「ふぁ……行っちゃったか……」
ボーッとした頭で部屋を見渡す。
キチンとたたまれた寝袋。ゴミ箱には大量のティッシュ。諒ちゃんが使ったらしき、バスタオルは丁寧にベランダに干してあった。
我慢して我慢して、イった俺は、一回だけじゃ止まらなくて、クタクタの諒ちゃんを何度も苛めちゃった。苦しそうに喘ぐ顔がもっと見たくて……。
「……いっぱい出したくせに、節操なさすぎだろ」
思い出してまた立ち上がろうとしている息子を叱り付け、シャワーを浴びた。
また会えるかな。電車で会えたらいいな。でも、なんて声掛けよう。きっと諒ちゃん真っ赤になっちゃうだろうな。
そんな浮かれた気分でいた。
行きずりだったけど、でも、また会えるような気がしてたから。
でも俺の希望通りには行かなかった。
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