第一章

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 そうこうしてるうちに先輩が転職。  ホッとした途端、男とエッチする夢を見るようになった。別に先輩が夢に出てくるわけじゃない。でも相手は男だとわかる。まさか、先輩とのアレで目覚めちゃった? これはヤバイと風俗へ行ってみた。もちろん女の子相手ででもちゃんとイケた。  ただの欲求不満が顔を出しただけ……そう思ってるのに、忘れた頃にまた似たような夢を見る。  窓ガラスに映る男はへの字口になってた。意識して口角を上げる。背筋を伸ばしてキリッとした表情を作ってみれば、けっこうイケメンに見える。大学の時はそれなりにモテてた。まさか二十七歳という人生の一番いい感じの時期に男とエッチする夢を見るなんて想像つかないほど充実してたのにな。  やっぱ初体験だったから強烈に記憶されちゃってるのかな。  考えても仕方ないし、疲れてるのにこんなことをグルグル考えてるとまた夢に見ちゃいそうだ。降りる駅はまだまだ先。終点の一個前。だから寝ちゃった方がいい。そんな眠気はきてないけど、目を閉じる事にした。  アナウンスが流れ駅に着く。人が降りたり入ってくる気配。俺の隣にも誰かが座った。走り出す電車。  あーなんかウトウトしてきたかも。いい感じに眠れそう……。  そう思った時、肩に何かが触れた。  おや? 
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