何事も。

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「悩んでることはわかる、でも内容は知らない。だから、君が言葉にしないと何も始まらないし、周りだって君を誤解し続けるだけだよ」  そう、ぼくだって。それは言葉にせず自分の中に戻した。  前々から彼女に対して思っていたことを吐き出す。これは自己満足なのかもしれない。結果的にさらに彼女を追い詰めてしまうのかもしれない。  今色々言って、りんねは戸惑っているし、ぼくの言ったことを噛み砕いてゆっくり理解しようとしている。だからきっとぼくがいなくても大丈夫だ。あと彼女に必要なのは、自分で考える時間だ。  俯いてる彼女を置いて部屋を出る。出る時にりんね母が通りかかって「もういいの?」と早すぎる帰宅に驚いていた。 「はい、お邪魔しました」  不思議そうにしながらも玄関まで見送ってくれた。  長居はできない。すぐ帰ると言ったから。  帰って手を洗って食卓に戻ると、もう母は食べ終わり食器を洗っていた。ぼくの分がないと思ったら、冷めたことを気にして温めてくれていたらしい。  お礼を言ってまた食べ始める。  ぼくは案外恵まれているのかもしれない。いじめられることもからかわれてると思えば、だけど。
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