ぼくは君の。

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「りんねはいつも元気だね」 「なに話逸らそうとしてるの」 君のためだよ。むしろ理由を言ったことによるぼくへの負担軽減のためだよ。 直接はいえないから視線による攻撃だけで留めておいた。効果は全くない。 「先生きたよ」 扉に手をかけた先生の姿が見えた。 さすがに先生の小言からは逃げたいらしいりんねは、おとなしく自分の席に戻って行った。先生パワー強し。参考にしよう。  ぼーっと黒板を眺める。  授業中、ぼくは大半の時間を黒板を見つめることに費やしている。ノートを書かないわけじゃないけど、基本黒板だけを見ている。あの色がちょうどいいのかもしれない、目に。・・・なにを馬鹿なことを言っているんだろう。  先生の話を聞いていると、90パーセントくらいの確率で眠くなる。何回も直そうとしたけれどどうにもならなかったので、極力長くなりそうな話は聞き流すことにした。  内容は後から教科書を見れば大体わかる。問題は授業中に寝たことによって減点されてしまうことだ。厳しい先生は本当に容赦なく下げる。その先生の目星はついてるので、その授業のたびに聞き流し作戦を使う。今のところ特に成果は出ていない。  りんねを見るともうすでに欠伸をしていた。非常に危ない。  でも彼女はどうやら寝ないようにして減点を避けることより、テストの点を稼ぐことに力を入れているらしいので、それはそれでいいと思う。だからよく授業中りんねにはよく先生のチョップが繰り出される。それでも懲りていないらしいからすごい。そういうところは尊敬してもいいと思う。  今日は寝ずに授業を乗り越えてみようと思う。できる、ぼくなら。  そう思って維持した集中力は、授業開始後10分にはすでに切れていた。  テストの度に恐怖を覚えるし、学期末に渡される通信表は見たくない。それでも寝ることをやめられないぼくは、もう何かが吹っ切れているのかもしれない。
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