3人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
テンションが高いまま誕生会はお開きとなった。
りんね親子を見送った後、テーブル上の片づけに取り掛かる母を手伝う。
「休んでたら?」
「いいよ。落ち着かない」
母さんの気遣いはありがたいけど断る。こんな会まで開いてもらってくつろいでおくだけの度胸はぼくにはない。小心者なのだ。
一通り片付けが終わって、ソファでくつろぐ母を見届けて自室へ向かう。
廊下にある鏡を見て自分がずっと制服だったことを思い出した。帰ってきて初の自分の部屋。やっぱり落ち着く。
どこかに変化がないか確認する。
りんねは遊びに来る度に大体ぼくの部屋に何かを仕掛ける。小さいものから大きいものまで。多いのは、上から何かが落ちてくるというものだ。今までで一番驚いたのは、ぼくの嫌いな黒光りしたあいつの玩具が大量に降りかかってきた時だった。あれは掃除も大変だった・・・。
恐怖心にかられつつ、慎重に部屋を見渡した。今回は大丈夫そうだ。さすがに誕生日にぼくをいじめることはしなかったらしい。いや。そういえば今日往復走らされたな。それで勘弁してやるってとこだろうか。
所々、りんねの私物がある。彼女はぼくの部屋を納戸か何かと勘違いしているのかもしれない。
久しぶりに整理をしよう。誕生日で一つ大人になって、いい機会だ。
自分のものはもちろん、りんねのものもしっかり分けて、わかりやすいように置いておこう。もしもの時に置いて行かれたら取り扱いに困る。そんなもしも、やってくることはないかもしれないけど。
そんな気まぐれな行動がフラグになってしまっていたなんて、さすがにぼくじゃ気づけなかった。
最初のコメントを投稿しよう!