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密集した樹々の中に威嚇音を発しながら周囲を見回す四足装獣があった。
その足下には降り積もった雪を被って荒い呼吸をなんとか収め息を潜めているライアンがいる。
どこまでもついてくる四足装獣から隠れる為
いくつかの木の枝を狙い撃ちし、
四足装獣に雪を落として視界を遮り隠れ遂せたのだ。
だが寄る年の瀬には勝てないのか顔色は酷く悪い。
なんとか誘い込めたとはいえ対魔獣の矢は残り5本。
奴を仕留めるに足るギリギリの本数
なんとしても仕留める。
この森は今日まで第四級魔獣がでたことはない。
だが二級魔獣が頻繁に発生し、また山からは更に危険度の高い魔獣が下りてくる事もあり王国指定危険地域となっている。
だから見える範囲でも数十のトラップが仕掛けられている、大型ベアトラップ 落とし穴 落石トラップ 括り罠
巨大な四足装獣には効果は薄いが
気は引ける、そうすれば背後から矢を射し込める
指で雪に穴を開け周囲を確認
四足装獣は苛立った鳴き声をあげているが動きだす様子がない。
罠は自分で起動しなければ…
危険は高いがやらねばならない、
興味と怒りが薄れる前に罠を矢で起動する。
ライアンは一呼吸し、
何万回と握った弓を構える雪の中から外の世界を幻視する。
魔獣の位置大きさ
乱立する樹々と
地を這う木の根や石の一つ一つまで、
その先の指より細いギミックのロープ
ライアンは確信し矢を放つ。
ひたすら研鑽し続けた一射は
果たして矢は命中する
吹雪は未だやまず
山小屋の床を雪が濡らしていた
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