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矢は見事に命中した
ギミックが作動し、仕掛けられていた大木が轟音を響かせ地面と激突する。
あとは背後から攻撃して機動力を奪い本命の矢を射ち込む。
そう考えていて気づく
妙な静けさを感じた。
実際に静かなのではない。
吹雪による凄まじい音は途切れることなく続き、
樹々の枝が波打ち静けさとは真逆と言っていい。
その答えは穴を覗き込むことで解った。
四足装獣が先程まで発していた威嚇音は鳴りを潜め、何か一点を見つめていたからだ。
それは轟音を起こしたトラップではなく全く別の方向を向いていた。
全く別の方向。
そう、四足装獣の見ていた方向は自分の家の方向だったのだ。
そうライアンが気づいた時には四足装獣は走り出していた。
気づいたライアンは行かせてはならぬと
兎のように穴から飛び出し、
素早く狙い澄ました矢を放つ。
だが眼前の光景のもたらせた動揺からか矢は一寸ずれ無情にも硬い装甲に弾かれる。
もう一射と構えた時には遅かった、
遅いと解ってしまった。
家に居るはずの子が
護るべき子に今、魔獣が食らいついた。
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