転機

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必死の思いで上半身を起こすと 私にトドメを刺すためだろう 機械熊の口に当たる所から、鋭利なパイプが伸びようとしていた。 せっかく生まれ変わったというのに、 こんなに早く此処で終わるわけにはいけない。 だが勝てる方策など全く分からない、 いや逃げる方法なら一つだけ最初から…一つだけあった。 幸いにも吹き飛ばされた場所は最適で、まるで神様の思惑通りというか台本通りのようだ。 ならば演じなければ、こなしてみせよう。 意を決して私が後ろへ走りだした時 機械熊の足元が爆発し巨体に見合わぬ速さで突っ込んできた。 私は咄嗟に腕を上げて守る パイプは腕を貫通し喉まで貫通し 両腕が衝撃でひしゃげて私はまたも空を舞う。 視界が明滅しもはや動けない。 だがこれで良い。 私は落下しながらそう思った。 滝壺に叩きつけられたと同時に私の意識は途絶えた。 ……………………………応答なし 自動運転システム…起動 緊急浮上システム…起動 身体機能確認… 右脚……………………欠損 左腕……………………重傷 右腕……………………重傷 腹部……………………一部破損 頸部……………………重症 診断…自立運転不可能 救難信号発信… 救難信号発信…
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