雷雨

1/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

雷雨

 私は機械が好きだ。  機能美ともいえる複雑な金属と金属の部品同士が噛み合い、  機械特有の異音をたて煙をあげ機能を発揮する様は素晴らしい。  人型のロボが好きだ。  無機物だからこそ表れる造り手の造形美は  不完全な人間体の美など及ばず  全てを理想的に全てを老いから解放し。  美を半永久とするのだ。  叶うならば私はこの身を機械としたい。  単身者用マンションの一部屋。  豪雨と雷が続く外界から切り離された様な薄暗い部屋。  モニターの光に照らされ私はいつもの様にテレビゲームに没頭していた。  平日は毎日仕事から帰ってテレビゲーム  休日も1日の殆どをモニターを見る生活だ。  今日の様な雨の日などは  飯を抜いてでも家をでないインドア派である。  この様な生活を一人暮らしを始めて3年は続けている。  特別にゲームが得意なわけではない。  ただ楽しいからだ、私の人生において数少ない楽しみの一つだからだ。  ゲームの進歩は目覚ましい。  映像は写真と見比べ遜色ないどころか  理想美が表現されるようになっており。  髪の毛一本一本の細部まで表現されるそれは  ユーザーに更なる没入感を与え、  私をひどく魅了した。     
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!