第2話 西岡

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「じゃあなんで誰も近付かないんだ、近寄る素振りすらない」 医者ですらな、 そう言うと西岡は目を伏せながら答えた。 「広太様は、…簡単にご説明するなら重度の潔癖症なんです」 何年も前から、そう続ける西岡。 潔癖症?重度の?俺が? まっさかぁーとかぶりを降る だって俺だぜ?記憶喪失半日目だが今車が通っている砂利道の溝の水を見て「この暑さなら飛び込めるわぁ」とか考えてるこの俺だぜ? ないないと手を振りながら笑う。 「………えぇ、今のあなたなら考えられないでしょうね。昔の広太、そのものだ」 え?なんて 笑いすぎて聞いてなかった、つーか腹から声出せよ西岡ァ。 西岡は顔を片手で覆いながら自嘲気味に笑っていた。 表情は見えなかった。
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